「野性味あふれるパワーだけでなく、
心がけたのは“無駄の演出”」

 走りは超刺激的だ。ドライビングポジションは完璧。着座位置を低めるとともに、フットペダルの角度が最適化され、すべてがしっくりくる。

 もちろん強力なエンジンは刺激抜群。グッと盛り上がる強烈な加速は鮮烈である。それをコーナーを立ち上がるたびに味わうことができるのだ。最高である。エンジンはレスポンスに優れ、レッド表示となる7000rpmまで一気に吹け上がる。

 いくつか選べるアクティブサウンドコントロールの音質やATの変速もレクサスにふさわしく味付けされている。MORIZO RRは、ただ速いだけではなく実に洗練され、抜群に楽しい。

 GRカローラと共通性が高い4WDシステムは、駆動力配分の選択により走り味が変化。車体も強靭である。足回りには、フロントロアアームに“REDS”という世界初のレスポンス向上減衰構造を採用。雑味のないスッキリとした操舵感と、意のままに反応するハンドリングを実現した。サイドブレーキは、いまや少数派のレバー式。操作することで、走りのアクションのきっかけを作れるのは楽しい。

 佐々木選手は「野性味あふれるパワーだけでなく、シャシーを中心にレクサスの上質さを加味しました。心がけたのは“無駄の演出”です。ローンチコントロール(AT)やサウンドコントロール、排気系のバブリングなどはまさにそれ。そこまでこだわらなくても、というレベルまで煮詰めました」と語ってくれた。

 MORIZO RRは資質の高さをストレートに実感する実力車。相棒として共に過ごす時間が増えるほど、よき遊び相手になってくれるに違いない。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗)

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