その後、好きだったのは、池上遼一(いまでも現役で活躍しているが、なんといっても『男組』)、本宮ひろ志(『男一匹ガキ大将』)、平田弘史(『三十三間堂外伝』)、ちばあきお(『キャプテン』)、ちばてつや(『紫電改のタカ』)、小山ゆう(『がんばれ元気』)、小林まこと(『柔道部物語』)、谷岡ヤスジのギャグ漫画、などである。
わたしが、多くの事に関して昔がよかった、といっても、現代の漫画と較べるなら、その人気度は比較にならない。アニメまで拡張すれば、圧倒的に日本の評判を高めることに貢献をしているのだ。
政治、経済、スポーツ、小説、映画などに較べても、漫画の影響力はすさまじい。
漫画を通して、日本の食や風習や場所にたいしても、海外の関心は広がっている。驚くほどの貢献度である。
ただわたしは、現在の漫画を全然知らない。何千万部という超ヒット作でも、絵を見ただけで読む気がしないのである。なにしろ好きな絵というものが感覚的に決まっていて、それを外れるとだめなのである。
新しいところでは、福本伸行の「黒沢」シリーズと、石塚真一の『BLUE GIANT』、南勝久の『ザ・ファブル』ぐらいしか読んだことがないのである。
あとは井上雄彦の『バガボンド』と『リアル』だけか。
だからわたしは、昔の漫画がいいというよりも、単純に、昔の漫画が好きだ、ということしかいえない。
名画座やアートシアターで
映画を見ていた学生時代
いまから50数年前、わたしが学生だった頃は、名画座やアートシアターなどがあった。時代が映画の後押しをしたような、そういう時代だったのである。
けっこう難しい映画が多く、わたしは恰好をつけて見てはいた。いまでは信じられないだろうが、ある種の映画は義務として見ていたのである。
しかしほんとうは娯楽作品が好きだった。
昔は、月形龍之介、進藤英太郎、笠智衆、佐分利信、宇佐美淳、安部徹、山形勲、徳大寺伸、など多士済々の俳優がいた。
ハリウッドにも、ゲーリー・クーパー、ジョン・ウェイン、リチャード・ウィドマーク、ジャック・パランス、カーク・ダグラスらがいた。