林業は一次産業DX化の最前線
フィンランドに追いつけるか
そして、林業に関する取り組みです。
(12)宮城十條林産(宮城県)
DXとスマート化で林業(切り出し)、材木業(建材)を適切に生産管理し、住宅産業に売る商社を創設しました。
(13)中勢森林組合(三重県)
スマート林業により、生産、伐採、植林、売買などをすべてDX化しています。
ちなみに林業では、フィンランドという先進国があります。フィンランドはDX化で木材の需給を調節し、林道をきめ細かく整備することで、運搬と山火事対策に成功しました。実際、フィンランドは大規模な山火事を出していません。森林資源のマネジメントは、日本も大いに学ぶところがあります。
いかがでしょうか。ここで挙げた企業・団体のほとんどは、農林中金が農水省と組んで、「一般社団法人 農林水産業みらい基金」として、資金の一部を助成しています。つまり、農水省も日本の一次産業の改革に手をこまねいてばかりいるわけではないのです。
戦後の日本の経済成長期から、第一次産業は保護することが目標の中心となったため、農水省のやる気のある職員も、大きな改革ではなく小さな改革に取り組むしかなかったのでしょう。米トランプ政権により、これから顕在化するであろう世界規模の貿易戦争や保護貿易の進展で、工業製品の輸出に陰りが見え始めた今だからこそ、小泉新大臣にはこうした新しい取り組みをする集団や、それを支援してきた職員と共に、本格的な農政改革を期待したいものです。
(元週刊文春・月刊文藝春秋編集長 木俣正剛)