(7)あぐりんく(山口県)

 高齢者が多すぎる地域では、作物を変更する作業も進められています。手間のかかる水稲栽培は、人口が少なく狭隘な土地が多い山口県では、高齢者の増加に伴い厳しい状況となっています。そこで同社が創設され、水稲に変えて栽培に手間がかからないトウモロコシの生産に移行、トウモロコシを酪農の飼料として使うという手法が拡大し始めました。各地で、人口や土地の実態に合わせた改革が必要なことがわかります。

印刷会社がなぜ?
大手が農業に参入する意義

(8)TOPPANエッジ(東京都)

 実は大企業も、農業改革に乗り出しています。同社はあの凸版印刷が母体で、農業とは無関係に見えます。彼らは実際に農家に出向き、高齢化が進む農家では大きな負担が発生する農作業を外注したいというニーズがあることが判明しました。

 高価な農業機械と人材を持ちながら、使える時期と地域が決まっているため、受注が少ない農業法人も多数あり、一方で高齢者が人力で農作業をするため、もはや大規模な農地を耕作する能力がなくなっている農家もあります。

 しかも、日本は南北に長い地形のため、田植えや収穫に携わる季節が異なります。したがって、季節をずらして時間調節すれば、高性能な農業機械と高度な農業技術を持った技術者を全国各地に派遣し、高齢化して困っている農家を助けることができます。

 実際に、大分県と宮崎県では実証実験が始まっていて、委託側も受注側もニーズが合致することがわかりました。むしろ、当初そろえた農業機械では足りないという事態も生まれたそうです。

 そこで、農作業のマッチングプラットフォーム構築、農業機械のシェアリングや人材育成というテーマに取り組んでいるそうで、いずれ全国的にTOPPANが農業を支えるという時代がくるかもしれません。実際TOPPANエッジは、農家と農業機械法人をつなぐ「農託」というプラットフォームをつくり、全国での運用に備えています。