TOPPANは代表的な例で、大企業だけに農協などともそれほど軋轢を起こすことなく、こうしたプラットフォームの建設に成功しました。他にも、農業機器や人材をDXで管理して、地域を超えて必要な時期に必要な人材と器具を融通し合うといった若い人たちの試みも、小規模ですがかなりあります。
最大の課題は、高齢者の小さな農場を若い経営者による大規模農場へと変える改革ですが、農協という壁と戦う若者が相当数いることは確かです。彼らを支援することこそ、これからの農水省の仕事でしょう。
(9)農研機構(茨城県)
国の研究機関で、高温耐性と収量性に優れた「コシヒカリ」熟期の中生品種である「にじのきらめき」など、多収穫が望める品種をさらに再生二期作ができるよう開発しています。再生二期作とは、たとえば豆苗のように一度上部を切り取って食用にした後、根の部分を水に浸けておくともう一度収穫できるというもので、同じ面積の土地から多くの収穫が望めます。
「獲る」から「増やす」へ発想転換
SDGsに繋がる水産業の試行錯誤
水産業に関する取り組み事例には、どんなものがあるでしょうか。
(10)日本サーモンファーム(青森県)
自動給餌機械を使った鮭の養殖会社。すでにデンマークで養殖の実績もあり、海で養殖するための特別なバージ船を開発し、それによって海中で養殖をしています。
(11)愛南漁業協同組合(愛媛県)
愛媛の鯛釣りが基本だった漁協が、発泡スチロール製の巨大なフロートをたくさんつくり、そこで鯛の養殖を始めています。食事は都市ゴミからの残査やゴミを有効利用するなど、SDGsにも貢献する試みです。