
2025年に入りトランプ政策の発令で値を下げた米国株に対し、注目され始めたのが堅調に推移するドイツをはじめとする欧州株だ。グローバル株型の投資信託を通しても投資できる欧州株だが、欧州株に特化した投資信託に資金が流入し始めている。日本で買える欧州株型の残高の推移や、売れ筋の投資信託のタイプなどをみてみよう。
米国株と欧州株の好調・不調が2025年に入って逆転!
欧州株型投資信託への資金流入トレンドが顕著に
投資家の予想通り、2024年11月のトランプ氏の米大統領選出直後は、米国株の上昇率が他の国々を上回りました。しかし、2025年に入ってその動きは逆転。年初に見られた多くの予想に反して欧州株の堅調さが目立っています。こうした背景もあり、日本の投資信託市場においても、欧州株に投資する投資信託の資金フローに変化の兆しがみられています。
グローバル株型投資信託においては、米国とともに資産配分の中心となっている欧州株ですが、地域に特化した欧州株型投資信託の残高は大きくありません。過去5年ほどの欧州株型の残高をみると、2000億円前後での推移。前回の当コラムで取り上げたインド株型の残高が4月末時点で3.4兆円に達するのと比較すると、かなり限定的な水準です。
ただ、米国株、インド株への資金が集中しつつも、買われる対象は徐々に広がっています。2024年に入ったあたりから新規設定の投資信託を中心に、欧州株型の投資信託にも資金流入が見られるようになっています。
欧州株型の残高は過去5年で最大に
欧州全体に加えドイツ株型、テーマ株型にも流入
特に、2025年4月の資金流入額は+138億円の資金流入に。欧州株型の残高はグラフの5年強の期間で最大となる2400億円程度となっています。
ちなみに、この2400億円の残高のうち、およそ4分の3にあたる1800億円弱は欧州全体に幅広く投資する投資信託で、次いで440億円がドイツ株など単一国に投資するタイプとなっています。さらに細かく見ると、欧州全体に投資する投資信託のうち、テーマ型やセクターを絞ったものが110億円、欧州の中小型に絞ったものが130億円の残高となっています。
欧州のブランド品株特化型や高配当株型など
特色のある欧州株型に人気が集まる傾向も
グラフで資金流入額が月間50億円を超えた時期を見ると、2021年6月からの資金流入は、欧州のブランド品などにフォーカスしたテーマ型への資金流入によるものです。また、2024年2月は新規設定された欧州の高配当株にフォーカスした投資信託、2025年3月はドイツのDAX指数に連動するインデックス型、そして4月に新規設定された割安成長株の戦略の投資信託に高水準の資金流入が見られました。
先に指摘したように、グローバル株型などを通じても欧州株への投資は可能です。このため、地域に特化した欧州株型投資信託に投資する場合、何らかの特色のある投資信託が好まれる傾向があると言えそうです。

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<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧
▼日本株総合部門
▼日本中小型株部門
▼米国株部門
▼世界株部門
▼新興国株部門
▼リート部門
▼フレッシャー賞
▼もっとがんばりま賞
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