「インフラ開発」というテーマに
直結する銘柄だけに絞って投資
――長期的な目線で運用成績を追求されているんですね。
はい。目先の短期的な利益を追求するのではなく、「インフラ開発」という投資テーマが持つ本質的な成長力を最大限に反映できるように運用しています。
銘柄選定においては「インフラ開発というテーマの中心に、今後も長期的に居続けられるかどうか」を取材や調査により確認しています。世の中のテーマ型の投資信託の中には、そのテーマに関連する事業が事業全体に占める比率が低いにもかかわらず、アルファベット(Google)を組み入れているものもありますが、我々は事業規模が大きくてもインフラ開発との関連性が低い銘柄は投資対象外としています。あくまでインフラ開発事業への比率が高い銘柄を中心に組み入れています。
――組入銘柄を見ると、あまり日本人には馴染のない銘柄が多い印象ですが……。
おっしゃる通り、日本の個人投資家の方々にはあまり馴染みのない企業が多いかもしれません。しかし、これらは米国市場においては非常に有名な巨大企業ばかりです。たとえば電気機器・部品メーカーのイートンや、空調や産業機械のトレーン・テクノロジーズの時価総額は10兆円を超えています。それぞれのインフラ分野におけるリーディング企業、つまりその分野を牽引する代表的な企業を選定しています。
また、私たちは単一のファンドマネージャーに依存せず、チームで運用を行っています。チーム内では、セクターや地域で担当を分けるのではなく、フラットな議論を重ね、全てのメンバーが対等に意見を交換し、納得いくまで議論を尽くします。特定の担当者の主観に偏ることなく、チーム全体の合意に基づいて選ばれた銘柄です。
――ここ数年、目覚ましい成長を遂げた米国のインフラ分野ですが、今後も成長は続くのでしょうか。

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米国ではインフラの老朽化が深刻な問題となっており、その更新・再構築の需要は非常に大きいです。米国のインフラ分野は、今後も長期的に成長が期待できると考えています。
日本では水道管の老朽化や陥没事故が問題になっていますが、米国でも同様、あるいはそれ以上に深刻な状況です。例えば、過去には橋の崩落事故が起きたり、水道をひねると鉛成分が検出されたりといった問題が報じられたこともあります。米国は日本より国土もずっと広大で、長年にわたってインフラへの投資が十分に行われてきませんでした。老朽化が進み、大規模な改修や再建が必要な状況が広範に見られます。
このような状況を背景に、米国では政権を問わずインフラ整備の必要性が認識されています。トランプ政権においても国内回帰や国内重視の方針が取られており、インフラ企業にとっては追い風となる部分があると考えています。
さらに、近年ではAI開発の加速に伴い、データセンターや電力送電網などの電力インフラの需要が急増しています。これは、設定当初は想定していなかった追加的な成長ストーリーであり、インフラ分野の裾野を広げ、さらなる成長の起爆剤となっています。したがって、米国のインフラは、単なる老朽化対策だけでなく、国内回帰や新たな技術革新によって、今後も長期的な成長が見込まれるテーマであると認識しています。
◆米国株部門(テーマ型) 最優秀賞
「米国インフラ・ビルダー株式ファンド(為替ヘッジなし)」とは
米国のインフラ構築に関わる企業に投資する。上昇率の高さに加え、成績の安定度が光る。「米国インフラ・ビルダー株式ファンド(為替ヘッジなし)」の好成績の要因は、「インフラ」というテーマの需要の高さだ。銘柄数を約30に絞り、各分野のトップ級の企業に投資。インフラ関連分野の成長をダイレクトに反映する形で、長期的な成長を目指す運用方針だ。
ダイヤモンド・ザイでは1年に1回、「NISAで買える本当にイイ投資信託」を部門別にランキングし、上位のファンドを表彰している。人気や知名度ではなく、データを最重視した完全実力主義のアワードだ。「1.どれだけ上がったか(上昇率)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)」の3つの独自基準で評価を行う。また、非常に人気があり多くのお金を集めているにもかかわらず成績が振るわない投資信託も、「もっとがんばりま賞」として発表している。
<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧
▼日本株総合部門
▼日本中小型株部門
▼米国株部門
▼世界株部門
▼新興国株部門
▼リート部門
▼フレッシャー賞
▼もっとがんばりま賞
▼(番外編)インデックス型「最安ランキング」
▼当グランプリの「選定基準」はこちら⇒https://diamond.jp/articles/-/363017