
ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025の「米国株部門(テーマ型)」で最優秀賞を受賞した投資信託が「米国インフラ・ビルダー株式ファンド(為替ヘッジなし)」(大和アセットマネジメント)だ。米国のインフラ構築に関わる企業に特化して投資し、5年間(2020年~2024年)で基準価額を2倍以上に伸ばした。これはS&P500を上回る上昇率だ。なぜ米国のインフラ関連企業が伸びるのか? この投資信託を運用する大和アセットマネジメント・グローバル・マルチストラテジーチームに聞いた。(市川森彦、ダイヤモンド・ザイ編集部)
土木や建設だけじゃない!
AIブームでインフラ株も伸びる
――米国のインフラ関連企業に特化した投資信託ですが、どういった企業を組み入れているのでしょうか。
「米国インフラ・ビルダー株式ファンド」は、米国のインフラ開発という長期的な成長テーマに強く関連する銘柄に絞って投資しています。具体的には、米国内のインフラ開発事業比率が高く、時価総額や市場シェアが大きく、将来的な競争力も期待できる大型株が中心です。銘柄数は現在、約30銘柄に絞り込んでいます。
銘柄選択においては、インフラ開発市場が拡大した際に、その恩恵をダイレクトに受けられる代表的な企業を厳選しています。建設会社、建設資材、電気機器、重機、機械関連など、インフラに関連する多岐にわたる分野のリーディング企業を組み入れています。
――生成AIブームで需要が急増している、データセンター関連の銘柄も入っていますね。
「インフラ」と聞くと、多くの方が道路や橋、上下水道といった土木分野をイメージされるかと思います。しかし、データセンターは現代の情報社会を支える基盤であり、電力送配電網などと同様に不可欠な存在。現代のインフラの一部と捉えています。
この投資信託では設定当初から、データセンターに関わる企業を通信インフラという分野の大きな柱の一つとして認識し、投資対象としていました。とくに近年、AI開発が加速する中でデータセンターの需要が急激に拡大しており、電力インフラの必要性も高まっています。発電所や送配電網といった電力インフラは、インフラ投資のまさに「ど真ん中」の分野であり、これらを供給する企業も重要な投資対象です。
――成績も大変優秀で、過去5年(2020年~2024年)の上昇率はS&P500を上回っています。
当ファンドのパフォーマンスは、とくに2021年ごろから大きく上昇しています。バイデン政権下でインフラ投資・雇用法などの法案が成立し、多くのインフラプロジェクトが発表され、本格的なインフラ投資が始まったことが大きな要因です。加えて、コロナ禍でのサプライチェーンの混乱や米中対立といった世界的な大きな流れの中で、国内回帰の動きが強まり、米国でのインフラ再構築が進んだことも背景にあります。
最近では、生成AIの需要拡大に伴い、データセンターや電力インフラへの投資も加速しており、これが電力インフラ関連企業の業績拡大に寄与し、ファンドの成長ストーリーをさらに後押ししています。
ただし、足元では一時的に成績が落ち込んでいる局面も見られます。これは、景気敏感セクターに分類される資本財・素材セクターの銘柄を多く組み入れているため、景気の不透明感が高まるとパフォーマンスが苦しくなる傾向があるためです。トランプ関税に対する市場の懸念も強く受けています。また、データセンターや電力インフラ関連の銘柄が、業績に関わらず一斉に売られる局面があったことも影響しています。しかし、私たちは長期的な視点で運用しており、このテーマの成長は問題なく続くと考えています。