そうなると問題となるのが輸送能力だ。現在、平日1日あたりの運行本数は、京成が119本(うちスカイライナーが41本)、JRが54本(うち成田エクスプレスが27本)だが、国交省は2023年度に1日8.3万人だった鉄道利用者(JR・京成)が、2035年度に13万人、2042年度に15万人に達すると予測しており、輸送力の抜本的増強が急務だ。
成田空港会社が実施した2024年 成田国際空港アクセス交通等実態調査によれば、アクセス交通機関のシェアは鉄道が56%、バスが24%、自家用車・タクシー・レンタカーが17%だ。JRと京成に絞ればシェアは34%対66%で、概ね運行本数の比率と符合している。
一方、成田エクスプレスとスカイライナーのシェアは42%対58%。成田エクスプレスは所要時間で劣るが、東京、横浜、新宿など主要ターミナルに乗り入れる利便性で健闘していると言えよう。京成としてはスカイライナーの輸送力増強を図るとともに、対JR、特に有料特急利用のシェアを高めることが目標になる。
次期スカイライナーは
8両から9両へ長編成化か
そこで登場するのが「次期スカイライナーの検討」「新型有料特急の導入」「成田空港周辺の単線区間の複線化」だ。順番に見ていこう。
まずは次期スカイライナーだ。「D2プラン」は、段階的に増えていく空港輸送の需要増加への対応策として、「次期スカイライナー車両の整備について検討」し、「その際、長編成化(現在は8両)を含めた輸送力増強を視野に入れる」としている。
現行スカイライナー「AE形」は2010年、成田空港線(成田スカイアクセス線)開業に合わせ、最高速度時速160キロ運転が可能な車両として登場した。運用開始から15年で「次期」は早いように感じるかもしれない。
しかし、先代「AE100形」のスカイライナー運用は1990年から2010年の20年(他種別に転用した後、2016年に引退)であり、2030年代のデビューを想定すれば順当だ。そのため、現行車両への増結ではなく、新型車両の導入に合わせて長編成化を図るようだ。
「D2プラン」には「長編成化」としか記されていないが、京成が2029年3月の完成を目指して進める宗吾車両工場建て替え工事の事業認定には、「成田国際空港アクセス車両9両化の施策を実現するための検査修繕体制」と明記されている。また、京成上野駅、日暮里駅のホーム有効長は最大9両である。