AE形は時速160キロ運転に対応するため、成田スカイアクセス線の開業にあわせて2010年から2011年に集中的に導入された。「D2プラン」の参考資料「今後見込まれる投資について」には、次期スカイライナーへの投資は2030年代半ばまでに概算700億円程度と記されており、2029年度以降、5年程度かけて車両を更新するものと思われる。その間、新旧車両が併用されることから走行性能が大きく変わることはなさそうだ。
押上~成田空港間を
運行する「新型有料特急」
成田空港拡張と同時に登場予定なのが「新型有料特急」だ。スカイライナーは設備の都合上、誕生時から京成上野・日暮里の発着で、押上からのアクセスが課題だった。成田スカイアクセス線経由の「アクセス特急」は特急料金不要だが、押上~成田空港間に51分から67分を要する。
そこで京成は2020年から、それまで日暮里~成田空港間無停車だったスカイライナーの一部を青砥駅に停車させ、押上方面からの乗り換えを可能とし、押上~成田空港間を乗り換え時間込みで約45分に短縮した。そして次の一手が、押上~成田空港間を運行する「新型有料特急」だ。
「D2プラン」と合わせて発表されたプレスリリースは、「2028年度の運行開始に向けて新型有料特急の導入を決定」とだけ記され、「本特急に関する詳細については順次公表いたします」としているが、京成電鉄に確認したところ、本列車は「既存のアクセス特急を置き換えるものではない」、「地下鉄浅草線への直通運転は想定していない」ことが分かった。
ただ前述の通り、押上~成田空港間はアクセス特急で60分前後、スカイライナー乗り換えで約45分、新型有料特急は押上から確実に着座できるとはいえ、これら列車の速達性、快適性と料金のバランスを取るのはなかなか難しそうだ。
成田スカイアクセス線の最高速度は、京成高砂~印旛日本医大間が時速130キロ、印旛日本医大~成田空港間が時速160キロだが、アクセス特急は全区間を時速120キロで走行している。
「D2プラン」の車両イメージ図を見る限り、スカイライナーほどの高速運転はしないように思えるが、アクセス特急を超える時速130キロで、押上~成田空港間を無停車ならば45分程度で走破可能だろう。後述の通り、成田スカイアクセス線のネックは単線区間である。現行の施設でどの程度の運行本数と速達性を実現できるのか、今後の詳細発表が楽しみだ。