<リファレンスチェックの定義と目的>
○ リファレンスチェックとは、企業が応募者の過去の職務経験や人柄を確認するために、事前に候補者が推薦し、了承を得た前職の上司や同僚などに問い合わせる調査のことをいい、書類や面接だけでは把握しきれない情報を得るために実施される。
○ リファレンスチェックで確認する項目
・候補者の勤務態度や業務遂行能力
・チーム内での協調性やコミュニケーション能力
・過去の業績や成果
・退職理由 など
○ リファレンスチェックを行う方法
・企業の担当者が推薦者と直接電話やオンラインなどを通じてやり取りする、メールなどで質問内容を送付し回答を得るなどの方法がある。
・企業によってはリファレンスチェックを代行会社に依頼するケースもある。
○ リファレンスチェックを導入するメリットとデメリット
・面接だけでは分からない情報を得ることで、適切な人材を採用できる
・履歴書や職務経歴書の内容が正確かどうかを確認できる(あくまでも推薦者が把握している範囲)
・候補者の人柄や職務適性を把握し、企業文化に合うかを判断できる
・デメリットとしては、調査への同意を求めることで候補者から不信感を持たれる可能性がある。

 E社労士の説明を聞いたD部長は大きくうなずいた。

「デメリットもありそうですが、ウチとしては管理職候補になる社員を採用したいのでリファレンスチェックを中心に導入する方向で進めます。実行する際の注意点はありますか?」

<リファレンスチェックをするときの注意点>
○ 基本的には最終面接終了後から内定を出す間、もしくは最終面接前に行う。内定後や入社後などに行い、結果次第で内定取り消しや雇用契約を解除した場合トラブルになりやすいので注意する。
○ 候補者に対しては、事前にリファレンスチェックを実施すること、実施する目的、対応者として前職の上司などを推薦してもらうことを説明し、同意を得ておくこと。ただし、実施日の間際に同意を得ようとする場合、推薦者への依頼など、準備が間に合わず拒否されることがあるので気をつけたい。
○ リファレンスチェックはあくまでも採用に関する情報を調べるものであるため、業務の目的の達成に必要な範囲を超えた情報を求めないこと。例えば本籍地、信条や思想、宗教、家族の職業、趣味などが該当する。(求人職種によっては一部例外あり)
 必要以上の情報を求めた場合、個人情報保護法に抵触する可能性がある。