あれ、なんでまたイライラしてるの? 話して“後悔”する人の特徴
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話すこと=ストレス発散とは限らない?
今日は、「話すことが必ずしもストレス発散になるとは限らない」というテーマでお話ししたいと思います。
「話す」という行為には、自分の中にあるものを「手放す」効果があるとも言われており、実際、誰かに話すことで気持ちがスッキリすることもあります。
けれども、場合によっては、話すことでかえってモヤモヤがぶり返すこともあるのです。
嫌なことがあった日の出来事
つい先日、私自身がまさにそういった体験をしたので、そのことをシェアしたいと思います。
ある日、少しイラッとする出来事がありました。ギャーギャー文句を言おうと思えば言えたのですが、「まぁ、そこまでの価値もないかな」と思い、大人の対応としてスルーすることに決めました。
とはいえ、理不尽さは残っていて、モヤモヤが続く……。事が発生したのは昼ごろだったのですが、時間が経つにつれて徐々に気にならなくなり、夜には「あれ、なんだっけ?」というくらいに落ち着いていました。
話したらスッキリすると思ったけれど
その日の夜、パートナーと合流して、「今日さ、ちょっと嫌なことがあってね」と軽く話すことにしたんです。私は話すこと自体が好きなので、「話せばスッキリするかな」と思ったんですよね。
ところが、話してみると、当時の気持ちがどんどんよみがえってきて、むしろイライラが再燃してしまったのです。結局、そのあとしばらく引きずってしまいました。
イライラの「再燃」を避けるには
話すことは基本的には良いことです。相手がいない場合には「書き出す」という手段も有効で、これは話すことに似たような効果があります。
ただし、すでに気持ちが落ち着きかけていた場合は、わざわざ蒸し返さないほうがよいこともあるのです。
一度消化しかけたネガティブな感情を再度口に出すことで、イライラの火種が再燃してしまうことがあります。そういった意味で、「話すこと=ストレス発散」とは限らないのです。
話すべきか、話さざるべきかの判断は?
では、どんなときに話すべきで、どんなときに控えたほうがいいのでしょうか?
こればかりは、事前に完全に判断するのは難しいです。話してみて「あ、これは話さないほうがよかったな」と気づくこともありますし、逆に「話してよかった」と感じることもあります。
つまり、「そのときの自分の気持ちの状態」と「話すタイミング」がカギなのです。
イライラのピークが過ぎて、気持ちが落ち着いてきたばかりの段階では、無理に話そうとしないほうがいいこともあります。例えるなら、やっと眠りかけた感情を起こしてしまうようなものですね。
感情は自然と落ち着いていくもの
嫌な出来事に対する感情も、時間が経てば自然と落ち着いていきます。だからこそ、イライラが「寝つきかけている」ときにわざわざ起こす必要はないのです。
「あ、これはもう自分の中で消化できたな」と思えるなら、あえて口に出さなくても問題はありません。話すかどうかを選ぶうえで、「今はそのタイミングかどうか?」を自分に問いかけてみるとよいでしょう。
話すこと自体は悪いことではない
最後に強調しておきたいのは、「話すことそのものが悪いわけではない」という点です。
話したほうがいいことも、もちろんたくさんあります。ただ、「どんなタイミングで、どんな気持ちで話すか」によって、その効果は大きく変わるということを、ぜひ覚えておいてください。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。