いい加減、食傷気味?
世間がメディアに感じている「劣化」

 第二の視点は、世間の話題が相対的に盛り上がりに欠けたことです。たとえばネット民が騒ぐほど、一般視聴者から見て永野さんは本当に「清純派の実力派女優」なのでしょうか。UQモバイルのCMで深田恭子さん、多部未華子さんと共演してブレイクしましたが、当時17歳と若いこともあり、他の2人とは格の違いが感じられ、事務所の売り出し戦略が見て取れました。その後出演した多くのドラマでも、大人気になるほどのヒットはなかったように思います。

 それまでの主役クラスである綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、北川景子さんらが世代的に少し上になったため、同世代に名前のある女優が少なくなって、永野さんが実力以上に起用されることが多くなったのではないか。私はそう思っていました。

 一方、田中圭さんといえば、演技力には定評があるものの、度々共演者と噂になり真剣な交際に至らないといったことが報じられる、自由奔放なところがあります。今回のLINE流出でも、来年の大河ドラマを控えた若手女優を相手に、年上で責任ある立場の人間とは思えないトークが露わになりました。世間からは「情けない」という批判も聞こえます。

 こうしたポジションにいる2人の「お泊まり」疑惑なので、いわゆる「大物」と言われる芸能人同士のスキャンダルよりも、世間の関心が低かった感は否めません。

 もともとメディアには、視聴者の目線に合わせて番組作りの敷居を下げるほうが稼げる側面があります。代表的なのは、テレビのクイズ番組。昔は、『クイズダービー』のはらたいらさん、竹下景子さんらの該博な知識や、『パネルクイズ アタック25』の参加者のハイレベルな教養に感心していましたが、今は「こんなことも知らないのか?」と驚くタレントたちが起用されています。視聴者に「私の方が賢い」と優越感を感じさせた方が視聴率がとれるからです。

 しかし、そうした業界の経験則も通用しなくなっています。テレビ離れが進む中で、本来タレントや芸能ニュースへの関心が深い若年層、専業主婦の視聴者は激減しており、「テレビ番組はマンネリで飽きた」「テレビの人気者には興味がない」という人が増えています。

 それは週刊誌も同じです。今回の不倫疑惑は主に週刊誌で報じられていますが、芸能人をたたくことが「使命」となってしまった週刊誌報道に、食傷気味の人も増えています。視聴者や読者の立場で見ると、芸能界もメディアも劣化したのです。これでは、よほどの大物でもない限り、芸能人のスキャンダルが盛り上がらないはずです。