よく歩く人は
栄養も十分とれている

「健康長寿の10カ条」のところで述べましたが、血清アルブミンは血液中のたんぱく質の一種で、栄養素や食べたものの代謝物質を体のすみずみまで運ぶ働きをしています。そのため血清アルブミン値は、低栄養になっていないかどうかを調べる指標として用いられているのです。

 一般に、血清アルブミン値が高い高齢者ほど健康で長生きする可能性が高いと報告されています。

 そこで、住民の身体活動量と血清アルブミン値との関係を調べたところ、歩数が1日7000~8000歩以上、中強度活動が1日15~20分以上の身体活動を行っている人は、血清アルブミン値がもっとも高いことがわかりました。

 血清アルブミン値が高い人は、普段の食事で栄養をバランスよくとっていると考えられます。

『すべての病気が防げる長生き歩き』書影『すべての病気が防げる長生き歩き』(青栁幸利、エクスナレッジ)

 中之条研究では、インタビュー調査により食事の内容も調べています。そこから、身体活動量と食事との関係についても分析していますが、ここでも1日7000~8000歩以上で、そのうち中強度活動が15~20分以上の高齢者は、食事のバランスがよいことがわかりました

 具体的には、高齢者の健康によいといわれている魚介類大豆・大豆製品(豆腐や納豆など)牛乳乳製品などを十分とっています。また、調味料を控えめにするなど減塩を心がける理想的な食生活を送っていることがわかりました。

 日頃から運動して健康に気をつかっている人は、食事にも気をつかっているのでしょう。よく体を動かすと食欲も旺盛になるので、自然とさまざまな種類の食品を食べる結果になっているとも考えられます。