健康のためにウォーキングをしているなら、その中に中強度活動を取り入れることが大事だということです。
では、長生きしたい人は1日に何歩歩けばよいのでしょうか。その中で、どのくらい中強度活動を取り入れればよいのでしょうか。
長生き歩きは8000歩
中強度活動を20分
そこで、筆者らの研究で明らかになった「長生き歩き」をここで定義しておくことにしましょう。
まず、歩数は1日8000歩です。それ以上歩いても、健康効果に大きな差はないことが明らかになっています。
次に中強度活動ですが、1日20分です。8000歩のうち20分を速歩きすることで達成できます。
つまり、長生き歩きとは1日「8000歩/中強度活動20分」です。これを毎日続ければ、老化や病気を防ぎ、健康長寿が実現できるでしょう。
健康のためのウォーキングでは、よく速歩きが推奨されていますが、速歩きがどのくらいの時間必要なのかを示したデータは、筆者らの研究以外で見たことがありません。
たとえば、1時間速歩きを続けたら、普段運動していない人は疲れてしまいます。でも、20分なら誰でもできます。
5000人の高齢者を調査した
中之条研究
群馬県北西部に中之条町(群馬県吾妻郡)という町があります。この町の65歳以上の全住民5000人を対象に行われているのが「中之条研究」です。2000年から20年以上にわたって行われています(現在も継続中)。
対象となった5000人には、日常の運動頻度や時間、生活の自立度、睡眠時間、食事などに関するアンケート調査を行いました。
このうち2000人には、血液検査や遺伝子解析を行い、さらにそのうち、1000人には身体活動計(歩数と運動強度を測定する機器)を1日24時間、1年365日装着してもらい、身体活動状況を把握しました。
身体活動計は定期的に回収されて、1日に18時間(かつ朝7時から夜7時までのうち9時間)以上装着していること、1年に9カ月(約270日)以上装着しているという条件を満たす場合のみ分析の対象としました(95%が分析対象)。