たとえば、運動開始の翌日には、心拍数が下がります。これは末梢(まっしょう)血管が拡張することによって、全身の血流が改善されるからです。その分、心臓の負担が軽減されるので、心拍数が減少します。
その後、1週間で毛細血管系の機能が高まります。ネズミの実験でも、運動をさせて1週間たつと毛細血管が増えることがわかっています。
高血圧症や糖尿病は2週間~1カ月で数値が改善されます。だから、これらの病気は薬を飲む前に、運動を始めたほうがよいのです。
歩くと体温が上がり眠りやすくなる
睡眠の質を高めるには夕方歩き
歩くのに適した時間帯はありますか?という質問をよく受けます。筆者は4000~6000歩くらいをまとめて歩く場合、夕方をすすめています。その理由は、夕方歩くとよく眠れるからです。よく眠れないという人は、ぜひ夕方に歩いてみてください。
中之条研究(編集部注/群馬県の中之条町で、高齢者を対象に現在も行われている調査)において、0~100歳の町民1645人に、朝晩2回、体温を測定してもらい、その結果を解析したデータがあります。
起床時も就寝時も、体温は加齢にともなって低下することがわかりました。また加齢とともに、睡眠効率が低下する傾向も認められました。
加齢とともに眠れなくなるのは、体温が上がりにくくなるからです。寝るときは体温を上げておき、その後、体温が下がってくることで睡眠に導かれます。

寝る前(夕方)に入浴すると、よく眠れるといわれていますが、その理由は、入浴により体温が上がり、その後は下がりやすくなるからだとされています。
それと同じ理由で、夕方に歩いて血流をよくし、体温を上げておくと、よく眠れるようになるというわけです。また、夕方歩くことで、心地よい疲れを感じ、睡眠に入りやすくなります。
このほか、足首から太ももにかけてさすると、足のむくみがとれて血流がよくなり、冷えが改善されて眠りやすくなります。
就寝時の体温が下がりすぎないように、室温を保つことも睡眠の質を高めます。
食後に歩くと血糖値が安定する
朝起きてすぐ歩くのは危険
夕方に歩くのがおすすめといわれても、人にはさまざまな事情があり、それ以外の時間でないと歩けないという人もいるでしょう。
その場合は、午前中や昼間に歩いてもかまいませんが、どうしても避けてほしい時間帯があります。それは、朝起きてすぐ(30分以内)歩くことです。