そこで私は、「今やりたくないというのはよくわかるけど、それってサボるための言い訳だよね?やればできるけれど、今やっていないから結果が出ていないんじゃない?」と話しました。正論をぶつけられた娘は、徐々に机に向かう時間が長くなり、そこから成績が少しずつ伸びていきました。
ここでお伝えしたいのは、行動していないから結果が出ていないという現実を冷静に受け止めることが重要だということです。ただし、その行動自体はちょっとしたことでかまいません。「こんな些細なことでいいのだろうか」「このやり方でいいのだろうか」などと思えてしまうことでも、動く前とは少し違う未来が必ず見えてきます。
「やればできる」のではなく
「やるからできる」と考えよう
私自身の経験をお話しすると、本を出版したくて、いろいろな出版社のドアをノックしていた時期がありました。頭の中にテーマがあり、イメージも湧いていましたが、恥ずかしいことに出版企画書すら書いていませんでした。なぜ書いていなかったかというと、やり方がわからなかったし、書くのに時間がかかるし、ノウハウもないし、自信もないし、面倒くさいし……。でも、やればできるはずだから、まずはちょっと出版社に理解してほしいとか、希望だけは伝えたいという気持ちだけが先走り、出版社を訪ねていました。
ですが当然、とりつく島もなく、「熱意はわかるけれど、企画書を書いてないよね?」の一言で跳ね返されていました。ようやく我に返った私は、出来のよさにこだわらず、企画書とサンプル原稿を作成して、再度アプローチをしてみたところ、驚くほどあっさりと出版が決まったという過去があります。
このような話は、案外、身近です。「転職したい」といいながら、なかなか転職活動しない人があなたの身近にいませんか?「やればできるし(だからタイミングは今じゃない)」と言い訳して、行動することを先延ばしにしている典型例です。行動しなければ、失敗もありませんから安心できるのです。
けれども、実際にちょっとでも動いてみると、自分の市場価値が意外に低くて慌てたり、ならばどうすればいいかと考え、やるべきことが見えてきたりします。
正論を押しつけられるのは気持ちがいいものではないかもしれませんが、「やればできる」は今日から封印。「やるからできる」と言い換えて、やるべきことをクリアにしましょう。そして、小さくてもいいから始めてみることが大切です。