初公判で語られた壮絶な事件の詳細

 これまでの経緯がやや複雑なので簡単にまとめるが、事件があったのは2018年の9月。ひかりさんや北川被告含め複数名が参加した懇親会の帰り、ひかりさんと北川被告がタクシーに同乗し、そのまま官舎内の北川被告の自宅がある官舎へ向かった。そこで事件が起こった。この懇親会は北川被告の検事正就任祝いとして開かれたものだった。

 ひかりさんは直後から懇親会のメンバーに当日の事情を聞くなどし、北川被告へも被害感情を伝えていた。直筆書面を受け取ったのは2019年10月で、この翌月に北川被告は辞職している。辞職後は弁護士登録を行い、組織を去ってからも関西の司法関係者に影響力を持っていたという。

 2024年に入り、ひかりさんは被害を申告。6月になって大阪高検が北川被告を凖強制性交の疑いで逮捕、翌日に起訴した。

 大阪地検の元トップによる事件であるだけに注目を集め、初公判が待たれた。初公判は2024年10月に行われ、罪状認否で北川被告は罪を認めていた。また、この日に大阪の司法記者クラブで、ひかりさんの記者会見が行われ、その内容の壮絶さに注目が集まった。

 目を覚まして拒否したひかりさんに対して北川被告が「これでお前も俺の女だ」と発言したことなど、具体的な詳細が明らかになったためだ。なお、この発言があったことは書面の中で北川被告も認めている。

 また、会見の中でひかりさんは、女性副検事が捜査情報を北川被告に漏らしたり、誹謗中傷する内容の噂を流したなどと訴えた。この女性副検事は懇親会にも出席していた人物で、北川被告とも親しかった。

 状況が一転したのは、第2回公判が開かれるはずだった12月だ。12月に入り、北川被告の弁護士が会見を開き、全面否認に転じることを明らかにした。初公判で罪を認めながら、無罪主張に方針転換したのである。