突然に思える方針転換について弁護士は、関係者に情報漏洩の疑いがかけられていることや、検察庁に対する組織批判があったために北川被告が悩み「自らの記憶と認識に従って」主張することにしたと明かした。
まるで、ひかりさんが記者会見を開き女性副検事の情報漏洩を告発したことがこの事態を招いたと言いたげである。
ひかりさんは女性副検事を国家公務員法違反や名誉毀損で刑事告訴したが、結局不起訴処分。懲戒処分も、戒告という軽い処分だった。
女性副検事への“軽い”処分
一連の経緯から浮かび上がるのは、検察による被害者へのセカンドレイプとも言える状況だ。
北川被告が逮捕・起訴されたまでは良かった。ひかりさんも、捜査中は一時期休職していたものの、起訴後に職場復帰を目指していたという。しかしそこで女性副検事による情報漏洩や噂の吹聴を知り、ショックを受け、再び休職を余儀なくされる。
女性副検事が流した噂は、あたかもひかりさんが北川被告に好意を持っていて、ひかりさんから誘ったと言わんばかりのものだったという。また、PTSDも詐病と囁かれたという。
検察などの司法関係者は、嘘をついている可能性があったり証言内容がつかみどころのなかったりする被害者を「筋悪案件」「筋悪の被害者」などと呼ぶことがある。ひかりさんが自身の知らないところで「筋悪」かのような噂を流されていたことを知って、ショックを受けるのは当然だろう。
女性副検事への軽いと感じられる処分は、検察組織にたいしての告発を行ったひかりさんを突き放す態度にも感じられる。ひかりさんは女性副検事の不起訴処分について検察審査会に異議申し立てを行う予定という。
検察審査会の審査員は国民の中から選ばれた人であり「一般国民の視点で審査が行われる」とされるものの、審査会自体が非公開であり、ベースとなるのは検察官からの事情説明である。今回のように検察組織自体が問題になっている事件の場合は特に、被害者であるひかりさんの視点がどこまで審査会に反映されるのか。非常に気になる点である。