「私は喜んで死ぬ…」大阪地検元トップが性加害を訴えた女性に送った手紙、その絶句する中身とは？

　ひかりさんはこれまでの会見で、真摯に働く同僚たちも多くいることに触れながらも、検察組織への不信感をあらわにしている。会見が回数を重ねるごとに、その不信感は増しているように見える。

クローズドすぎる組織の危うさ

　今回に限らず、検察組織は情報が外部に漏れることを非常に恐れる組織である。重大な個人情報を扱っているから当然ではあるが、内部事情や決定までの過程がクローズドすぎると問題が起こるのはどの組織でも同じである。

　大阪地検といえば、2010年の証拠改ざん事件が今なお記憶に新しい。北川被告も、ひかりさんへの口止めの中で、自分の犯行が明らかになれば証拠改ざん事件に匹敵する大問題となり、検察業務が立ち行かなくなるといった内容を伝えていた。

　検察でも地域ごとに特色があり、中でも大阪地検は独特で閉鎖性が強い、という声も聞こえてくる。ただ、警察や検察が「身内に甘いのでは」という点は今回に限って指摘されているわけではない。外部の目がある程度入る、風通しの良い組織に変わってほしい。

　会見の中でひかりさんも言及していたが、被害者は被害に遭った際に検察に頼るしかない。警察が捜査し、その後に起訴・不起訴を決めるのが検察であり、被害者が「検察は信用できない」と思っていたとしても選択肢はない。

　フジテレビ問題など有名人の性加害が問題になったケースでも、必ずといっていいほど被害者を貶める噂が出回ってしまう。こういった状況は今後の告発者を躊躇させるものであり、あってはならない。

　近年の他の事件と違うのは、ファンが多い有名人とは異なり、検察組織を擁護する世論やマスコミはほぼ皆無であることだ。しかしフジテレビ問題のように第三者委員会が設置されるかといえば「前例がない」を理由に動かないであろうし、組織の内部で何が起こっているのかがとにかくわかりづらい。突破口はあるのか。告発を無駄にしてはならないだろう。