「2000円のために徹夜?」古古米を笑う人が、なぜか毎年すすんで並ぶ「タイパ最悪の行列」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

日本人を怒らせるにはコメを粗末に扱えばいい……などとネットの一部ではネタにされるほど、日本人はコメ信仰が強い。主食として慣れ親しみ、もはや体の一部となってしまっているのだから仕方ない。そこへ来て今回のこのコメの高騰と「古古米」騒動である。タイパの悪い「コメ行列」に、なぜ人はトライしてしまうのか。(フリーライター 武藤弘樹)

全国のスーパーに長蛇の列
まるでお祭りのような騒ぎに

 コメ価格の高騰が続いている。上がり幅は一旦落ち着いたので高値圏でしばらく推移しているが、消費者がその価格に慣れる気配はなく、スーパーでコメの値段を見る度に「どうしてこんなに高いんだ」と思うばかりである。

 そんな中、古古米が販売される運びとなり、全国のスーパーに長蛇の列ができた。無事に安価(高騰前の適正価格)でコメを入手して喜ぶ家族に混じって前日夜20〜22時頃から 夜通し並んでいた猛者がいたり、店の案内不足か並んだのにコメを手に入れられなかった客が店に怒りをぶつけたりと、悲喜こもごもではあったが、列島を席巻する一大イベントとなり、現場の混乱含めてまさしくお祭りのような騒ぎであった。

 当然といえば当然だが、古古米の行列には「古古米をゲットして喜ぼう」というポジティブな感情だけでなく、「コメの高騰が続く現況に対する怒り」といったネガティブな要素も混ざっているように見受けられた。テレビのインタビューで「コメの高騰に腹が立っている」と話した人もいた。

 6月初旬現在、スーパーのコメの平均価格は5キロで4200円超だが、古古米は5キロ2000円ほどで販売された。単純計算で約2000円お得な買い物になるとはいえ、2000円のために数時間、さらには前夜から並ぶのはなかなか割に合わない。そこには損得勘定以上の何かが作用しているはずである。