(右)韓国第21代大統領に就任した李在明 Photo:Pool/gettyimages、(左)元首相・田中角栄  Photo:SANKEI(右)韓国第21代大統領に就任した李在明 Photo:Pool/gettyimages、(左)元首相・田中角栄 Photo:SANKEI

6月4日、韓国大統領選挙に勝利し、野党「共に民主党」前代表の李在明(イ・ジェミョン)が第21代大統領に就任した。親北・反日傾向が強い人物というイメージが強い政治家だが、彼は日本のある政治家と非常に共通点が多い。それは、日本列島改造論を発表、1972年に首相になった後ロッキード事件で逮捕された田中角栄だ。李在明と田中角栄の奇妙すぎる共通点とは?(貿易コンサルタント 豊 璋)

戒厳令が呼び起こした歴史のトラウマ

 去年12月3日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が突然「非常戒厳(戒厳令)」を出して以降、今月の李在明新大統領誕生までの約半年で、韓国は真っ二つに分断されてしまった。

 私自身は韓国で朴槿恵(パク・クネ)政権、文在寅(ムン・ジェイン)政権、尹錫悦政権を体験したが、今回の大統領選はどの政権のときよりも、国民が真剣に選挙に向き合っていたように感じた。

 2016年の朴槿恵退陣ローソク集会の時は、多くの国民が周囲の目を気にして、深く考えることなく集会やデモに参加していた。しかし今回は、戒厳令を出すまでに追い込まれた大統領の窮地を、ようやく国民が想像し、考え、理解し始めたようだ。

 韓国における「戒厳令」とは、日本人が思うよりももっと“重い”事態である。今回、尹錫悦大統領(当時)が戒厳令を出したことによって、国民のトラウマが呼び起こされたという面もある。