
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第53回(2025年6月11日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
嵩の試験はどうなった?
「展開早い」の見本のような回
「今日の試験は受けられんぞ」
不寝番だったのに寝てしまって士官に怒られた嵩(北村匠海)。
「え…」と動揺したあと、タイトルバック明けは、すでに3週間が経過していた。
第53回は朝ドラ名物、「展開早い」の見本のような回であった。
3週間、そして2年と、ときは早送りのようにビュンビュンすっ飛んでいく。
その間にこのドラマの主人公であるのぶ(今田美桜)の近況も描かれ、ぎゅっと濃縮還元する鮮やかな手際はさすがベテラン脚本家・中園ミホである。
まずは、3週間後を振り返ろう。
結局、嵩は試験を受けることができた。
3週間後に合格発表。目黒新二等兵(日高由起刀)は甲種幹部候補生に合格した。
嵩は神野(奥野瑛太)がどうしても受けさせてほしいと言ったので、試験を受けることができ、成績も悪くなかった。だが居眠りが引っかかって、若干、繰り下げて「乙幹」に合格となった。「乙幹」とは「乙種幹部候補生」の略。 幹部候補生は甲幹と乙幹の2種があり、甲は士官で、少尉、中尉、大尉、乙は下士官で伍長、軍曹、曹長という順位になっている。