次郎(中島歩)から届いた
手紙に書かれていたこととは?

 戦況がよくないことを伝えるもうひとつは、のぶに宛てた次郎(中島歩)の手紙だ。

「残念ながら君の言っていたことにはならないと」と次郎は書く。

 君(のぶ)の言っていたこととは、日本が勝つということだ。

「残念ながら君の言っていたことにはならないと」

 次郎の言葉を強調するように、のぶの頭でもう一度繰り返される。不穏な予言である。

 そこから2年、時間が飛ぶ。

 嵩は伍長になっている。

 戦争は終わるどころか激しさを増していくばかり。そろそろ動員命令が下りそうという噂が流れていた。そんな無駄口を聞いて労働に身が入らない若者を嵩は咎める。だが暴力は振るわない。

「おれは殴るのが苦手だ。こっちの手が痛いからな」と。

 しかも嵩は靴磨きを手伝う。これをこっそり八木が見ていて「変わってない」とつぶやく。嵩のようにえらくなっても態度が変わらず、暴力に訴えかけず、思いやりのある人物が増えてくると、軍隊の空気も変わるのかもしれない。八木のやったことが、これを考えてのことだったとしたら、かなりの思慮深い人物である。

 さらに、嵩のもとには千尋(中沢元紀)からの手紙が。

 3年会わないうちに千尋は海軍の少尉になっていた。少尉は甲幹部で、嵩よりも偉い。パリッと真っ白な制服で小倉に現れた千尋。その目的とは――。

 週末、6月13日は中沢元紀が「あさイチ」のプレミアムトークに登場する。となると、千尋の見せ場がくるということだろう。

15分で3週間飛んで2年後…「展開早すぎ」な第53回、“乙幹”嵩に何が起きた?【あんぱん第53回レビュー】

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