
M&A仲介会社やFAの存在など日本の特殊性も
今回は、サーチファンドの一連のプロセス(図表)におけるサーチャーの具体的な活動について、日本の特殊性を踏まえながら解説する。
まず、最初のステップであるサーチ活動のための資金調達には、「トラディショナル型」と「アクセラレーター型」の二つの形態が存在する(各形態の概説は連載第1回を参照)。日本にはサーチファンドへの投資経験を持つ投資家は限られるため、サーチャーは個人投資家への直接的なアプローチやMBAホルダーのネットワークを活用することが多い。そのためトラディショナル型の場合、MBAホルダーがサーチャーとして活動するケースが大半を占める。
一方、アクセラレーター型では、サーチャーはサーチファンド投資家の選考プロセスにエントリーし選考を通過することでサーチ活動を開始できる。この方式ではサーチャーは資金調達活動の負担を軽減できるが、投資家の選考を通過するのは容易ではない。
次の段階となるサーチ活動について、グローバルで一般的なサーチファンドの活動においては、サーチャーは電話やメール、手紙などあらゆる手段を用いて潜在的な売却ニーズを持つ企業を直接発掘する。しかし、日本の中小企業M&Aマーケットにおいては、M&A仲介会社やファイナンシャルアドバイザー(FA)がすでに大きな存在感を示し、彼らが多様な手法で売却ニーズを捕捉している。そのため、国内で活動するサーチャーは、M&A仲介会社やFAとの良好な関係構築が不可欠となる。アクセラレーター型の場合、サーチファンド投資家が接点を有していることが多く、サーチャーは投資家からの紹介を通じて関係構築するケースが多い。