
SUBARUが4月に発売した新型「フォレスター」は、ストロングハイブリッドがラインアップされ、走行性能と燃費が大幅に改良した。旧型のマイルドハイブリッドとの走りの違いを本格的なダート走行で実感した。公道での走行も踏まえて、新型フォレスターの実力を探った。(ジャーナリスト 桃田健史)
悪条件での試乗で、スバルの本領発揮
ここは、いったいどこだ?
SUBARUが指定した新型「フォレスター」試乗会の現場に到着して驚いた。
千葉県の海岸線からクルマで15分ほど入っただけで、周囲の風景は一変。採石場跡であるため、山の壁面は垂直に大きく削られている。石を運び出す導線として荒れた道があり、かなり奥地まで走行できる。また、少し上ると平原のような大きな空間が広がるなんとも不思議な光景だ
新型フォレスターには、2.5Lストロングハイブリッド搭載の「Premium S:HEV EX」、「X-BREAK S:HEV EX」、そして1.8Lターボエンジン搭載の「SPORT EX」の3グレードがある。
オフロード走行では、新旧の「X-BREAK」を比較した。旧「X-BREAK」は2.0Lマイルドハイブリッドだ。
オフロード走行といっても、ラリー競技のようなハイスピードでダート走行をするのではなく、ゴツゴツとした小さな岩がある路面を時速30~40キロ程度で走る。量産車としてのタイヤ性能を考えると、この速度域が限界に思える。
そんな過酷な状況で、まず新型車を走らせてみると、クルマ全体が揺れても視点があまりブレない。つまり、サスペンションがよく動いているということだ。路面からタイヤへの衝撃をサスペンションと車体が「いなしている」のが分かる。
車体の開発担当者は「車体後部の剛性を上げて、さらにリアサスペンションへの横方向からの力を軽減してサスペンションの稼働量を増やした」と説明する。
こうした「足元のいなし」と、モーターによる力強いサポート、そしてダイレクト感があるハンドルの操作感がうまく連携している。
感覚的には「行きたい方向にすぐにクルマが進む」。
こうした厳しいオフロード環境では、極めて高い走行性能だといえる。