
「プロ意識を持て」とよく言われるが、具体的にプロであるべく行動している人は決して多くない。なぜ日本ではプロフェッショナルが育たないのか。この問題をひもといていくと、「若手がすぐ辞める」「部下の育て方がわからない」といった多くの職場が抱える問題の根源が見えてくる。(イマジナ代表取締役社長 関野吉記)
“プロ”になる前に辞めてしまう
日本企業の若手社員
私たちは、「プロフェッショナル」に憧れを抱く。
スポーツ選手、音楽家、俳優……。努力と鍛錬を重ね、結果を出し続ける彼らを見て、こう思う。「さすがプロだ」「自分とは違う、特別なんだ」と。
だが、果たして本当にそうだろうか?
日々の仕事で顧客に価値を提供し、報酬を得ている私たちもまた、本来は「プロフェッショナル」としての役割を果たしているはずだ。
にもかかわらず、日本社会ではこの“当たり前の自覚”が、若者を中心としてどんどん薄れていっている。
対価をもらって働いているのに、プロフェッショナルと「自分」を別次元のところで分けて考えている。
多くの企業が、理念や行動指針の中で「プロ意識を持て」「プロとしての自覚を持て」といった言葉を掲げている。にもかかわらず、具体的にどうあるべきか、なぜそれが必要なのかが伝わっている例はほとんどなく、最終的にただのスローガンになってしまっている。
その結果が、今日本の職場で広がる、この光景だ。
「若手がホワイトすぎて成長できないと辞めてしまう」
「上司が厳しく指導するとパワハラだと言われてしまう」
一見矛盾しているとも思えるような二つの声が、同じ職場から聞こえてくることも珍しくない。なぜ、このようなことが起きてしまうのか?
数多くの企業を支援する中で私は、こうした現状の背景には、日本ならではのある問題が存在していると考えている。