日本相撲協会は宝の持ち腐れ、白鵬は野心メラメラ?
しかし、白鵬の構想が単なる社会貢献に終わらないだろうことは、容易に想像がつく。日本相撲協会の枠を飛び出すとすれば、協会よりもっとスケールの大きい、彼らの存在や大相撲に深刻な打撃を与えかねないムーブメントへの着手だろう。
親方をやめる、宮城野部屋復活をあきらめる決断に「後悔はない」ときっぱり言った。それほどの清々しさで新しい「夢」を追いかけるなら、史上最多45回の優勝を記録し、日本の相撲史にさんぜんと輝く足跡を残した白鵬に相応しい壮大なビジョンでなければ似合わない……白鵬ならそう考えて当然だろう。
つまり、9日の記者会見で構築された平和な社会貢献のイメージは間違いではないが、それがすべてではない。先にはもっと「壮大な野望がある」と覚悟した方が賢明ではないだろうか。
今、国内でも海外でもSUMO人気が熱を帯びていると言われる。店内に土俵を設え、元力士たちが展開する相撲ショーは日本に来る海外観光客に大変な人気で、連日大盛況だとしばしば報じられる。さらに海外ではプロレスのリングでSUMOレスラーたちが人気を集めているらしい。
世界的な注目と人気をベースにすれば、さまざまなビジネス展開が容易に構想できる。伝統を重んじ、年6回の本場所を粛々と運営する基本姿勢を貫く日本相撲協会にはそうした世界的潮流と積極的に連動し、新たな展開をする意欲はほとんど見受けられない。
海外の投資家、事業家、メディア関係者からすれば、宝の山にふたをし続けていて、もったいない状態に見えるだろう。
モンゴルで生まれ、海外から日本の相撲界に飛び込んだ白鵬にしても、同様の戸惑いと不満が渦巻いていてもおかしくない。もっと面白いことがやれる、もっと大きなお金が動かせる――白鵬が日本相撲協会を飛び出したのは、そうした無限の可能性の先頭に立つ未来に魅かれたからだと理解する方が納得できる。