SUMOに海外勢が参入してくる未来
いま世界のスポーツは、スポーツベッティング(スポーツの試合を対象にした賭け)と深く連動して動いている。
MLB(メジャーリーグベースボール)にしても、スポーツベッティングの運営会社と契約し、売り上げの一部をパーセンテージで受け取っている。その額はすでに年間150億円にも及ぶと関係者から聞いた。スポーツ界全体でいえば、年間数千億円の財源がスポーツベッティングによってスポーツ界に還元されるという。
世界のスポーツでは、既にこうした資金を基に強化や人材育成、施設建設などが進められている。スポーツベッティングの情報さえ閉ざしている日本はまるで鎖国状態にあり、世界的な動きは国民に知らされていない。スポーツ報道に携わる記者たちも、多くが現状を知らないのではないだろうか。白鵬がスポーツベッティングを含めた世界的な動きと連動し、従来とは桁違いの巨額スケールのビジネス展開を実現する可能性は決して非現実的な絵空事ではない。
白鵬は、世界には約150もの相撲に似た伝統競技が存在する。その強者たちの中には大相撲に挑戦する意欲を持った人材が多数いる、と会見で語った。ところが、日本相撲協会は外国人力士を「各部屋一人」と限定しているために、すでに新しい外国人力士の入門はものすごく難しい状況にある。
白鵬は海外の人材を積極的にSUMOに受け入れる意欲も会見で示した。白鵬の提唱する〈世界SUMOグランドスラム構想〉が、真の実力世界一を決めるような大会を目指すならば、大相撲と双璧を成す新勢力となる。
熱心な大相撲ファンは、高みの見物をしているだろうか。力士たちは、アメリカのNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の大型選手でさえも軽くあしらってしまえる並々ならぬ実力を持っている。いくら世界から人材を集めても、大相撲の力士をしのぐ強者はそう簡単に育成できない。だから、白鵬の新構想はアマチュアの位置づけか、大相撲の二番手に甘んじるだろうと高をくくっているかもしれない。