世界陸上で不可解な“失格”
アレン選手がフライングになった理由とは
陸上の世界選手権でまた「起こってはならない、愚かな出来事」が再発した。
大会3日目、男子110メートル障害の決勝。地元アメリカ、そしてオレゴンの期待を担って出場したデボン・アレン(アメリカ)がフライングで失格になったのだ。
「電子計時でフライングが明らかなのだから、仕方ないでしょ?」
日本で見ていた人たち、あるいは世界的にもそのような解釈が主流かもしれない。しかし、実際には違う。アレンは、フライングで失格になるようなスタートは切っていない可能性が高いのだ。
詳しく説明しよう。フライングと聞けば、「ピストルが鳴る前にスタートしてしまった走者」と理解している人も多いだろう。実はそうではない。陸上競技の公式規則では、「ピストルが鳴ってから、0.1秒以内に足がスターティングブロックから離れたらフライング」と規定されている。言い換えれば「ピストルが鳴った後、0.1秒はスタートしてはいけない」という妙な規則なのだ。決勝でのアレンのリアクションタイムは0.099秒で、この規則に照らして「失格」となってしまった。