横綱・白鵬が、モンゴルの国籍離脱を申請した、というニュースが報じられた。日本国籍取得に向けた一歩だという。
このニュースに接し、一人の日本人として人間として、失望と怒り、そして申し訳ない気持ちにかられた。
白鵬は「モンゴル国籍のまま相撲界に残りたいと希望している」と、数年前から伝えられていた。その思いを、なぜ日本相撲協会は叶えてあげないのか?
「モンゴル国籍は捨てたくない」
功労者・白鵬の思いを無視する相撲協会
最近は何かと騒動の発端となる横綱だが、史上最多42回の優勝を重ね、平成19(2007)年7月場所に横綱昇進して以来10年以上、大相撲の看板を担い続けている。白鵬がいなければ、平成半ば以降の土俵はずいぶん寂しいものになっただろう。
その功労者は、以前から「今後も相撲界にとどまりたいが、モンゴル国籍を捨てたくはない」と希望していた。それを拒否する理由は何だろうか?
相撲は日本の国技だから指導と協会運営に携わる年寄(親方)は日本人でなければいけない、というのが、これまでに示されている理由だ。
日本人でなければ日本文化は理解できない、他人に伝えることはできないという言い分。ならば、帰化すれば分かるとでも言うのか?
日本国籍を取得すれば、白鵬の「一代年寄」を阻む壁はなくなる。
引退後、白鵬が希望すれば「白鵬親方」が誕生する準備が整う。国籍を取得してもしなくても、白鵬は白鵬だ。形式的に高いハードルを防波堤にする意味が、この国際化、ボーダレスの時代に一体どんな意味があるのか。