モデル名の見直し
ガソリン車からiが消えたワケ
120に搭載するギアボックスは先代と同型式の7段DCT。直列4気筒2Lターボを積むMパフォーマンスモデルのM135 xDriveのほうは従来の8段トルコン式ATから7段DCTに換装された。これはよりダイレクトなシフトフィーリングが期待できるほか、軽量化にも貢献するはず。事実、車重は先代M135iよりも10kg軽い1570kgとなった。一方で最高出力は306psから300psへ、最大トルクは450Nmから400Nmへとダウン。0ー100km/h加速も0.1秒遅い4.9秒となった。数値変更は8段ATと7段DCTで受けとめられるトルクの違いに関係がありそうだ。とはいえ圧倒的にパワフルで速いことは従来と変わらない。
なお、ここまでの記述でモデル名の見直しに気づいた読者もいることだろう。そう、長らくガソリンモデルの最後につけられていた“i”の文字が、この世代から省かれたのだ。もともとiはインジェクション、つまり燃料噴射装置付きであることを示す記号だった。
昨今は燃料噴射装置を持たないガソリンエンジンなど考えられない。そこでBMWは、今後BEVにiのモデル名を与えることとし、ガソリンモデルのiを省略することにした。
新型のシャシーで注目されるのが、120に投入されたハイリー・プリテンションド・アンチロールバーである。これはアンチロールバーとベアリングの間にシェルと呼ばれる部品を挟み込むことで、これまで以上に締め付けトルクを高めたもの。これにより乗り心地がよりスムーズになるとともに、微小操舵時の姿勢変化を抑えたという。
アダプティブMサスペンションを装着した120 MスポーツやM135に搭載された周波数感応型ダンパーも4代目の新機軸。ダンパーのピストンスピードが0.3m/sを越えたとき、リバウンド側の減衰力を落として乗り心地を改善する機構である。先代よりベースとなる減衰率を高めることが可能となり、結果として操縦性の改善も図れたという。
なお、周波数感応型ダンパーの動作自体はパッシブに行われるが、日本仕様のM135は周波数感応方式を盛り込んだ電子制御式ダンパーが標準装備される。
インテリアではメーターパネルとセンターディスプレイを一体としたカーブドディスプレイを採用したことが注目される。インフォテインメント系には最新のOS9と呼ばれるソフトウェアを搭載。サードパーティのアプリを搭載可能とすることで、利便性の向上を図っている。