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YouTubeやTikTokが全盛の現代は、過激な企画が炎上することもしばしばだ。とはいえ、こうした問題は今に始まったことではない。昭和の時代、あるテレビ番組が常軌を逸した騒動を起こしたという。大宅壮一が「一億総白痴化」と呆れた、驚くべき実態とは?※本稿は、大宅壮一著、大宅映子監修、森健解説『大宅壮一 昭和史の証言「無思想人宣言」の思想』(藤原書店)の一部を抜粋・編集したものです。初出は1958年4月『CBCレポート』です。
いまだ色褪せない流行語
「一億総白痴化」
ある生徒が、その教師にあだ名をつける。たまたま、そのあだ名が、その教師の人柄を端的に衝いていれば、アッという間に全校に広がる。すると、後年、その教師の本名は忘れてしまっても、あだ名だけは、だれも忘れない。あだ名だけが、その人になり代わって通用する。これはどこの社会にもよくあることだ。
私が放送、ことにテレビを指して、「一億総白痴化」と書いたのは、たしか昭和32年のはじめ、『東京新聞』の紙上だったと思う。ハッキリ日付は覚えていないくらい、ふと頭に浮かんだ言葉であった。
だがその「一億総白痴化」という言葉は、「よろめき」と並んで、2大流行語となった。
ラジオ・テレビの現状を論ずる人が、必ずといってよいほど、1回は、この言葉を引用するようなしまつである。あだ名は、あくまでもあだ名であって、その人のすべてではないのと同様、放送がすべて「白痴化」番組というわけではない。その意味では、放送関係者にあらぬ迷惑をかけた面もあったかもしれない。







