自己理解が深まるメリット
MBTIが若者を中心に支持されている背景には、「自分の曖昧だった部分を言語化してもらえる」ことへの安心感があるでしょう。誰もが一度は、「自分ってどんな人間なんだろう?」と考えたことがありますよね。
例えば診断で「自分はINFJ(提唱者)だ」と分かると、「内向的だけど、人に対しては感情的に寄り添えるんだな」などと、自分を俯瞰的に見ることができます。これは自己肯定感やアイデンティティの確立に役立つ、大きなメリットです。
また、職場でも「この人はTタイプだから論理で話すと伝わりやすい」「私はFタイプだから感情の機微を大切にしたい」など、互いの違いを理解し合うツールとしても活用できます。
デメリットは「人間の可能性を狭める」
ただし、これはMBTIに限りませんが、性格診断を信じ込むと、逆に人間の可能性を狭めてしまう落とし穴もあります。
例えば、「自分は内向的だから営業には向いてない」と決めつける、「あの人は思考型だから冷たい人だ」などとレッテルを貼るケース。こうなると、人間の行動や成長の余地が奪われてしまうのです。
実際、一般社団法人日本MBTI協会によると、MBTIは自分を分析する指針を得るための検査で、その結果をMBTIの資格者(認定ユーザー)の支援を受けながら、じっくりと自分のタイプを探求する過程の方を重視しているそうです。
そもそもMBTIは、学術的にその正確性や再現性が保証されているわけではありません。実際、科学的根拠を疑問視する専門家もいます。それに冷静に考えると、どんな性格診断も、受ける度に結果が変わることも少なくありません。なぜなら、人間は経験によって変化し続ける存在だからです。
「当たってる!」が引き起こす錯覚
心理学には「バーナム効果」という有名な現象があります。これは「誰にでも当てはまるような一般的な説明を、自分だけにぴったり当てはまると思い込んでしまう」という心理効果です。
性格診断もある意味、このバーナム効果の影響を受けやすいといえます。診断の設計が優れていれば、「当たってる!」という感覚を持ちやすく、自分自身をそのフレームで語るようになるでしょう。