
ネットで流行する性格診断には「自分を型にはめることの危うさ」も付きまといます。性格診断で、「自分を知ること」と「自分を狭めてしまうこと」の境界について考えてみましょう。(ジェラシー研究家・メンタル心理カウンセラー 清川永里子)
若者に性格診断が大ブームのワケ
「今は自己紹介で性格診断のタイプを名乗るのは常識だよ!」という感覚、中高年には何のことやらサッパリだと思います。しかし、学生や20~30代の社会人の間では、性格診断がコミュニケーションのツールとして市民権を得ています。
とりわけ流行しているのが、性格のタイプを「ENTP」や「ISFJ」といったアルファベット4文字で分類したものです。診断では、以下の4つの指標から自分の傾向を導き出します。
●外向(E)/内向(I)
●感覚(S)/直観(N)
●思考(T)/感情(F)
●判断(J)/知覚(P)
診断によって、「ENTP」や「ISFJ」といった、アルファベット4文字で表す性格タイプが判明し、それによって仕事や人間関係の向き不向きが分かるというのが基本的なロジックです。
アルファベットでタイプを伝えると分かりにくいため、例えばENFJ型を「主人公」、INTJ型を「建築家」と言ったりして、互いのタイプを伝えるのも特徴です。
若者を中心に支持されている背景には、「自分の曖昧だった部分を言語化してもらえる」ことへの安心感があるでしょう。誰もが一度は、「自分ってどんな人間なんだろう?」と考えたことがありますよね。
例えば診断で「自分はINFJ(提唱者)だ」と分かると、「内向的だけど、人に対しては感情的に寄り添えるんだな」などと、自分を俯瞰的に見ることができます。これは自己肯定感やアイデンティティの確立に役立つ、大きなメリットです。
また、職場でも「この人はTタイプだから論理で話すと伝わりやすい」「私はFタイプだから感情の機微を大切にしたい」など、互いの違いを理解し合うツールとしても活用できます。