
「仕事に自分のすべてを注ぎ込まないほうがいい」。写真家・幡野広志が若い頃のハードワークを振り返り、仕事だけに自分を捧げる危うさを語る。仕事を唯一のアイデンティティにせず、趣味や生き方にもバランスを持つことで、人生は豊かになる。仕事や趣味との適切な距離感を持ち、限られた時間と健康をどう使うべきかを考える。※本稿は、幡野広志『ポケットにカメラをいれて』(ポプラ社)の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。
自分のすべてを仕事に注がない
好きでやりたいことを仕事にして、没頭してしまうと目の前の仕事がすべてになってしまう。若いころのぼくはハードワークに自分の時間をつぎ込んでいた。好きだからできたとも言えるが、振り返って考えてみれば、もっと無駄の少ない働き方ができたと思う。
真面目な人の多くは、やりがい搾取でも、ブラック労働でも、無駄なことでも、時間と体力を全部使って頑張ってしまう。好きじゃない仕事でさえそうなりがちだが、好きでやりたい仕事だと余計にのめり込む。
だけど若いうちしかない体力と時間を投資して、いまの自分がいることも事実だ。無駄というわけでもない。しかし、時間も健康も限られた資産なのだ。いくら好きなことでも、仕事に自分のすべてを注ぎ込むのはやめたほうがいい。