「公園で息子が撮ってくれた。いい写真なので雑誌のインタビュー写真に使った。」「公園で息子が撮ってくれた。いい写真なので雑誌のインタビュー写真に使った。」(写真提供/筆者)

カメラ初心者はとかく教本やネット動画に頼りがち。だが、プロ写真家から見れば、そうしたコンテンツの多くは間違いだらけだったり、大事なポイントが漏れていたりして、役に立たないという。そんなものに時間をかけるよりも、もっと大切なことを教えてもらった。※本稿は、幡野広志『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。

本やYouTubeで勉強するより
映画や音楽や漫画や小説に触れよう

 初心者向けの写真の本やYouTubeにある写真やカメラの情報には間違ったことがたくさんあります。ぼくも参考に何冊か購入して読んでみましたけど、けっこうヤバいなって本があります。もちろんYouTubeも。

 2つのパターンがあると思いました。本気で間違って教えているパターンと、わざと大切なことを書いていないパターンです。さすがに意図的にウソを教えているとは思いません。もちろん中には誠実な本もあります。だけどそれを見分けるのは初心者では無理です。

 アシスタント5年目なら「?」って感じると思います。だけどアシスタント5年目ならそんな本を読まなくとも現場で勉強できるわけです。当然ながらプロの人だって、初心者向けの写真本やYouTubeを見ません。時間の無駄ですよね。だったら映画を観ます。

 そんな本やYouTubeで写真の勉強をするよりも映画を観ましょう。映像のトーンひとつとっても映画は写真に応用できることがたくさんあります。なのでアニメ映画ではなく実写の映画がいいです。

 あと音楽を聴くのもいいですよ。2012年の紅白歌合戦で美輪明宏さんが「ヨイトマケノの唄」をうたいました。ひっくり返りそうなぐらい衝撃がありました。トレードマークの金の長髪は黒く短く、派手な服もこのときは真っ黒。派手な照明もなくスポットライトだけ。真っ暗なステージで真っ黒な髪と服の美輪明宏さんがうたうだけ。

 歌だけで勝負できるから、歌を邪魔しないように余計なものは何もいらないと自分で演出を決めたそうです。すごいですよね。写真は写真以外から学ぶことばかりです。

 映画を観ましょう、音楽を聴きましょう。漫画を読みましょう。小説もいいです。ゲームもいいです。それから美味しい料理を食べましょう。写真以外の趣味を持ちましょう。電車に乗ってあてもなく海に行って波の音を聞くのもいいです。スポーツでもいいです。美術館に行くのもいいです。