「書くのが速くてうまい人」が実践する習慣
20万部のベストセラー、200冊の書籍を手がけてきた編集者・庄子錬氏。NewsPicks、noteで大バズりした「感じのいい人」の文章術を書き下ろした書籍『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』(ダイヤモンド社)を上梓しました。
実は、周囲から「仕事ができる」「印象がいい」「信頼できる」と思われている人の文章には、ある共通点があります。本書では、1000人の調査と著者の10年以上にわたる編集経験から、「いまの時代に求められる、どんなシーンでも感じよく伝わる書き方」をわかりやすくお伝えしています。

「書くのがうまい人」がサクッと実践している、たった1つの習慣とは?Photo: Adobe Stock

「瞬間要約」でわかりやすい文章を速く書けるようになる

今回は、わかりやすい文章を速く書く人が実践している、ある習慣についてお伝えします。

ビジネス文章では、論旨や主張が明快であることが何より大事です。小説やエッセイであれば「10人中1人にとことん気に入ってもらえればいい」という考え方もありますが、ビジネスシーンではそういうわけにもいきません。メールや日報、企画書、レポートなどは10人中10人に理解してもらう必要があります。

では、ロジカルでわかりやすい文章を速く書けるようになるには、どうすべきか。

結論は、書く前に、頭の中で【流れ】や【メッセージ】を描く力」を鍛えること。つまり、「書くこと」よりも「書く前に考える時間」にフォーカスしよう、ということです。

この力があれば、あれこれ考えながら書く時間も、文章を整える手間も大きく減らせます。

とくにおすすめしたいのが、今すぐ実践できる「瞬間要約」です。

たとえば、ビジネス書や実用書を読んでいるとき、目次を見てその本のロジックを組み立ててみる。著者がどんな流れで内容を展開しているのか、各章はどのような関係性にあるのかを考えます。

ただ単に考えるだけでは不十分なので、組み立てた要約を言語化するのがベストです。最初は1分以内、理想は10秒以内で「目次を見ただけで本の内容をイメージできる」ようになるのが目標です。

X(旧Twitter)ならトレンドになっているキーワードを検索し、最初の10~20投稿を見て「つまり、いま話題になっているのはこういうことだ」と要約してみる。投稿者たちが伝えたいメッセージや、それらに共通する点を探ります。

本やSNSの投稿を「瞬間要約」する習慣をつけることで、情報を整理し、ポイントを素早くつかむ力が身につきます。

そうすると、自分が文章を書く際にも、「なにを伝えたいか」「なにを伝えるべきでないか」が明確な状態で書き始められるようになります。

そう。わかりやすい文章を速く書ける人は、タイピングやフリック入力が速いというより、「頭のなかで論点を組み立てる」のが速くて正確なんです。

ぜひふだんの読書や情報収集で試してみてください。

庄子 錬(しょうじ・れん)
1988年東京都生まれ。編集者。経営者専門の出版プロデューサー。株式会社エニーソウル代表取締役。手がけた本は200冊以上、『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(22万部)など10万部以上のベストセラーを多数担当。編集プロダクションでのギャル誌編集からキャリアをスタート。その後、出版社2社で書籍編集に従事したのち、PwC Japan合同会社に転じてコンテンツマーケティングを担当。2024年に独立。NewsPicksとnoteで文章術をテーマに発信し、NewsPicksでは「2024年、読者から最も支持を集めたトピックス記事」第1位、noteでは「今年、編集部で話題になった記事10選」に選ばれた。企業向けのライティング・編集研修も手がける。趣味はジャズ・ブルーズギター、海外旅行(40カ国)、バスケットボール観戦。

※この連載では、『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』庄子錬(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集して掲載します。