「なぜか好かれる人」は自分のことを打ち明けるのがうまい
20万部のベストセラー、200冊の書籍を手がけてきた編集者・庄子錬氏。NewsPicks、noteで大バズりした「感じのいい人」の文章術を書き下ろした書籍『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』(ダイヤモンド社)を上梓しました。
実は、周囲から「仕事ができる」「印象がいい」「信頼できる」と思われている人の文章には、ある共通点があります。本書では、1000人の調査と著者の10年以上にわたる編集経験から、「いまの時代に求められる、どんなシーンでも感じよく伝わる書き方」をわかりやすくお伝えしています。

「なぜか好感度が高い人」がメールにさらっと書いている意外な一言とは?Photo: Adobe Stock

相手との距離を近づける「3つのテーマ」

今回は「なぜか好かれる人」が無意識に使っている文章のコツを紹介します。

とくに「相手との距離を近づけたい」「本音を引き出したい」「自分という一人の人間を知ってもらいたい」というシーンで有効です。

まず押さえておくべきなのは、「触れないほうがいいテーマがある」ということを知ることです。

たとえば、関係が浅いけれど距離を近づけたい相手に対して、「まずは自分のことを知ってもらおう」と思ったとします。このとき書いちゃいけないけないのが「真剣(ガチ)なテーマ」です。具体的には、社会問題についての意見、政治的主張、強い否定的感情など。そんなことを書かれても、相手は反応に困ります。

書くべきなのは、気軽に聞けて、リアクションをとりやすいテーマです。具体的にいうと、次の3つが挙げられます。

メールの最後に加えて送ってみたり、「全然仕事とは関係ないんですけど」と申し送りをつけてチャットで送ってみたりすると、相手との距離を近づく可能性があります。

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① 身近な習慣
衣食住、ふだんの過ごし方など、人は「他人の習慣」を見るのが好きです。YouTubeでも「Vlog(Video Blog)」は人気ジャンルですよね。ただただご飯を食べて、お酒を飲んで、友人に会って……赤の他人であっても、身近な習慣は意外と関心があるものです。

例)
締切が近づいて、最近はほとんど外食ばかりです……。時短のために、いつもと違うチェーン店を開拓中なのですが、意外とアリだったのが◯◯のハンバーグ定食。安くてボリュームもあり、ほぼ毎日食べてます! 笑

② 非日常な出来事
これは単純に興味深いですよね。でっちあげる必要はありませんが、なにか非日常な出来事があったら、さらっと書いてもいいかもしれません。

例)
そういえば、先日珍しく電車が緊急停止して、30分ほど車内に閉じ込められました。車掌からは詳しいアナウンスがなかったのですが、みなさん割と冷静に対応されていて感心しました。

③ 最近の楽しみや発見
日常生活の中で見つけた小さな楽しみや発見を共有すると、相手との距離を縮めやすくなります。自分らしさが垣間見えるエピソードを選んでみましょう

例)
最近、会社の近くにオープンしたカフェ、行きましたか? 店内の雰囲気も落ち着いているので、一息つきたいときにはおすすめです。豆の種類が豊富なところも、さらにグッドポイントです!
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ここではメールやチャットで使う事例を紹介しましたが、この3つはSNSやnote、ブログなどでも使いやすい役立つテーマです。

ある程度の長さの文章においては、たとえば「日常→非日常」あるいは「非日常→日常」の流れを意識して書く。それだけで興味深いコンテンツになると思います。

庄子 錬(しょうじ・れん)
1988年東京都生まれ。編集者。経営者専門の出版プロデューサー。株式会社エニーソウル代表取締役。手がけた本は200冊以上、『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(22万部)など10万部以上のベストセラーを多数担当。編集プロダクションでのギャル誌編集からキャリアをスタート。その後、出版社2社で書籍編集に従事したのち、PwC Japan合同会社に転じてコンテンツマーケティングを担当。2024年に独立。NewsPicksとnoteで文章術をテーマに発信し、NewsPicksでは「2024年、読者から最も支持を集めたトピックス記事」第1位、noteでは「今年、編集部で話題になった記事10選」に選ばれた。企業向けのライティング・編集研修も手がける。趣味はジャズ・ブルーズギター、海外旅行(40カ国)、バスケットボール観戦。

※この連載では、『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』庄子錬(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集して掲載します。