「『なぜ、そう思うの?』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ?」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ?」「どうして?」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話=「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」=事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問」について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

職場で「どうして?」と聞く人は頭が悪い。頭の良い人は、どう聞く?Photo: Adobe Stock

「どうして?」と聞く人は頭が悪い

4月からもう3ヵ月が立ちました。気づけば猛暑です。

慣れない職場に入ったり、新しい仕事を任されたりすると、わからないことばかりで、「付いて行くのに必死」という人も多いかもしれませんね。

そんな状況だと、職場でわからないことがあったときに、次のように聞いてしまう人も多いのではないでしょうか。

「どうしてですか?(どうして?)」

実はこの聞き方は、よい質問とは言えません。相手の「思い込み」を引き出してしまう点で、よい質問とは言えないからです。

今回は、その理由について考えていきましょう。

「良い質問」で会話はガラリと変わる

たとえば、次のような会話シーンを想像してみてください。なお会話例は、実際にあったものを元にしています。

A:「会議に企画案を出すときには、必ず2日前に連絡をしてください」
B:「それは、どうしてですか?」
A:「ええと……」

いかがでしょうか。「特に何も気にかからない」という人も多いかもしれませんね。一方、「ちょっとムッとする」という人もいるかもしれません。

では、次のパターンだとどうでしょう。

A:「会議に企画案を出すときには、必ず2日前に連絡をしてください」
B:「それは、いつから決まったルールなのですか?」
A:「2ヵ月前からです」
B:「その前には、何かルールがあったのですか?」
A:「特に、ルールは決まっていませんでした」
B:「ルールが決まる前に出ていた『不満』には、何がありましたか?」
B:「会議の直前になるまで、『事前にいくつ企画案が出るかわからず、時間が読めない』という不満が上げられていました」

上記の2つで、違いがあることがわかるでしょうか。詳しく解説していきましょう。