総合商社&慶應アメフト部の経験が決め手に!“現場に強い”サーチャーが美容室の売り主に選ばれた理由とは写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

高い事業運営能力や細部への執着心を評価

 今回は、当社のサーチャーとしてサーチ活動を経てM&Aを実行し、現在、K(美容室チェーン、神奈川・横浜市)の経営に携わる三輪勇太郎氏の投資事例を解説する。

 三輪氏が「経営者になりたい」と明確に意識したのは、ファーストリテイリンググループのGU勤務時代だったという。社長補佐として業務に当たる中で、自分が自由に仕事をできているのは最終的な責任を負っていないからだと気付いた。「社長だけが最後の責任を負う」という現実を目の当たりにするとともに、意思決定を行い従業員から感謝される姿を見て経営者を志すようになった。

 そうした中で出会ったのがサーチファンドだった。若くしてM&Aを通じて直接社長を目指せる仕組みに可能性を見いだし、当社のサーチャーとして活動を始めた。当社は三輪氏の経営者としての資質を、次の3点から高く評価した。

(1)包括的な事業運営能力(総合商社時代に培った広範な業務経験と、未知・未経験の事象にも適切に対処する能力・胆力)

(2)対人コミュニケーション能力(アパレル業界での店舗マネジメントを通じて養われた、相手の心理を想像し、対応する力)

(3)数字を超えた細部への執着心(投資判断において、定量分析では見落としがちな企業の隠れた強みを見抜く力)

売り主オーナーの信頼獲得

 三輪氏は、サーチファンドを通じて経営者への道を模索する中で、M&A仲介会社から紹介された企業を中心に投資検討を行った。財務指標や市場動向にとどまらず、事業モデルの成り立ちや組織文化、従業員一人ひとりのキャラクターまで多角的に分析することで、候補先企業の事業性や投資適格性、自身との相性等を検討した。