光GENJI、SMAPとも一線を画す
「バンド」アイドルがなぜ活躍できたのか
1990年代初頭、光GENJIの人気が徐々に陰りを見せ、テレビからは次第に歌番組が姿を消していった。世は空前のバンドブーム。旧ジャニーズ事務所の歌って踊るアイドルは、かつてない逆風の中にいた。
そんな中、最初は静かに、しかし確かな存在感を持って登場したのがSMAPだった。従来のアイドル像とは一線を画し、バラエティ番組で体を張りながらもドラマでは演技力で魅了する彼らは、新時代のアイドルの扉を開けようとしていた。
そして1994年、ひときわ異彩を放つグループがシーンに現れる。アイドルなのに踊らない、楽器を手にした5人バンド――TOKIOである。
彼らのデビュー曲『LOVE YOU ONLY』は、いきなりオリコン初登場1位を記録。その後も『うわさのキッス』『ハートを磨くっきゃない』などのヒットを重ねた。
転機となったのが2003年発売の『AMBITIOUS JAPAN!』だ。東海道新幹線のCMソングに採用され、車内チャイムにもなった。続く06年には『宙船』(中島みゆき作詞・作曲)も大ヒット。TOKIOがNHK紅白歌合戦に24年連続出場という前人未踏の偉業を達成したのも、こうした老若男女に親しまれるヒット曲が豊富だからだ。
TOKIOはバンド活動にとどまらず、各人が俳優としても才能を発揮する。長瀬智也は『白線流し』や『タイガー&ドラゴン』で繊細かつ力強い演技を見せ、松岡昌宏も『サイコメトラーEIJI』などで主演を張り、存在感を高めていった。
「アイドルは歌って踊るもの」という常識を、TOKIOは見事に覆してみせた。
