焼肉きんぐに行くと、みんな楽しんでくれるのです。

 これは戦略コンサルタントとしての洞察ですが、飲食業界では「おいしさ」や「サービス」「コスパ」を追求する一方で「楽しさ」を軽視する傾向が見られます。だから「楽しさ」は調査項目にすら入らない。でも、お店を見ているとわかるはずです。グループで来店した顧客には、その瞬間が楽しいかどうかが一番大切です。

 皆さんもそうではないですか?仲のいい仲間と、彼氏や彼女と、ないしは職場仲間でなどさまざまな組み合わせで食事に出かけたとして、満足したときの感想は、

「楽しかったね。それにこの店おいしかった」

 の順番じゃないですか?

 ミシュランの星を持つお店ならおいしさが一番でも、チェーン店で重要なのは楽しさが一番先に来るのです。ここが牛角や安楽亭、焼肉ライクや焼肉の和民が勘違いしていることであり、焼肉きんぐが気づいているところです。他業態では「あきんどスシロー」も「コメダ珈琲」も経営者は「楽しさ」の重要性に気づいているようです。

 焼肉きんぐをご存じではない方のために、焼肉きんぐがどう楽しいのかを紹介しましょう。焼肉きんぐは基本的に食べ放題コースを注文するお店です。3つあるコースのうち一番人気は真ん中の「きんぐコース」で100分間で3280円~3580円(税別)。この価格は店舗の立地で決まっていて、地方の郊外は安く、東京の都心型店は高くなります。

 このきんぐコースを注文すると「五大名物」のメニューが食べ放題になります。大きい肉の塊に切れ目をいれた「きんぐカルビ」や、長~い「壺漬けビッグハラミ」、私好みの味の「炙りすき焼きカルビ」などが注文できます。

焼肉きんぐの「五大名物」 同社ホームページのスクリーンショット焼肉きんぐの「五大名物」 同社ホームページのスクリーンショット

 まあこれらは「おいしさ」に力点を置いたメニューですが、それ以外にも牛、豚、鶏、海鮮、野菜、デザートなどたくさんのメニューから選ぶことができます。そのメニューがバラエティに富んでいるだけではなく、ひとつひとつが思ったよりも小さい。ここがポイントで、裏を返すといろいろと注文できるのです。