
本連載では「試乗+インタビュー」の形でいろいろなクルマを紹介しています。乗り心地もさることながら、“音の良さ”にフェルさんもAD高橋さんも撃ち抜かれてしまったクルマが、三菱自動車の「アウトランダーPHEV」。このクルマの車載オーディオはヤマハと三菱の共同開発で、ヤマハの職人「サウンドマイスター」が責任を持って“音”を仕上げたというのです。サウンドマイスターってどんな仕事をする人なのか、ぜひインタビューしたい!ということで、今回は三菱自動車のみなさんと一緒にヤマハ本社を訪問してきました。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)
宮崎の自宅で、完成記念パーティーを開催しました
みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。
ようやく完成した「宮崎フェル宅」にて、ハウスウォーミング・レセプションを開催いたしました。お足元の悪い中、35名もの方々にご来訪いただき、笑顔と会話が絶えない、実に豊かな夜となりました。あらためて、お越しいただいた皆さまに心より御礼申し上げます。

この宴を“ただの新居お披露目”で終わらせなかったのが、一心鮨光洋の木宮一光くんと、らんぷ亭の藤澤賢二くんです。木宮くんは言わずと知れた名ソムリエ。的確なペアリングにより、鮨とワインが互いを高め合う様子は、まさに“食の即興演奏”でありました。

握りを担当してくださったのは、職人のハルさん。所作は静謐、味わいは凛然――という一貫一貫に、会場の空気が何度もピンと張り詰めました。

そして屋外では、藤澤賢二くんが蒸し暑さと鉄板と格闘しながら、ただひたすらに肉を焼き続けてくれていました。火加減、塩梅、香ばしさ、そしてテンポ――どれもが一分の隙なく、料理が芸術になる瞬間を目撃いたしました。

なんと宮崎県知事まで……
今回の会を成り立たせた、もう一つの「見えざる力」にも触れておかねばなりますまい。フェル宅の改装をプロデュースし、今回のレセプションの“影の演出家”でもある、当欄ではおなじみの「名前を出したがらないMくん」の存在です。
全体の“空気”を整えるその美意識。家具はもちろん、照明やアートの配置にまで宿る静かなる“意図”。彼のセンスなくして、この夜の雰囲気は完成しませんでした。最大級の感謝を捧げたいと存じます。
そして、そのMくんのイメージを見事に現実の空間へと立ち上げたのが、施工を担当してくれた若き匠、北原渉くん。彼の丁寧な仕事が、木と鉄と光と空気のバランスを高いレベルで融合させ、家全体を“居心地の良い器”にまで仕上げてくれました。職人という言葉が、これほどしっくりくる男は珍しい。
当日はなんと河野俊嗣宮崎県知事もご来場くださいました。実は前日、近くで開催されたトライアスロンの会場で偶然お目にかかり、その場でお誘いしたのです。大会の開会宣言の後に、実際に選手として出場された知事のお姿は、政治家というよりアスリート。

拙宅へ来られても、会のあいだ一度も椅子に座られず、終始立ちっぱなしで全体に気を配っておられました。「新幹線を宮崎に引いてください」とか「ボードパークを作ってください」とか、ムチャな“陳情”もありましたが、全て笑顔で対応されていました。いや、政治家というのは偉いものです。
そういうわけで、「人」「食」「音」「空間」「偶然」が交錯した、なんとも贅沢な会となりました。

それでは本編へとまいりましょう。今回から「音づくり」のお話をお送りします。