頌栄女子学院豊島岡女子学園に触発されたのか、2026年入試に英語資格型の英語利用入試を新設する頌栄女子学院(東京・港区)

前回は、豊島岡女子学園の英語資格入試参入と激変した「帰国生入試」について見た。各校で導入が進む「英語入試」のあり方にもその影響は及ぶ。今回は「英語入試」について考えたい。「国際生入試」の様子にも触れ、一般受験生向けに目立つようになった「英語資格利用型」の導入状況などを検証し、26年入試の動きを展望しよう。(ダイヤモンド社教育情報)

英語は必須? 4つのタイプの「英語入試」

 当連載では、25年入試の特徴を「英語入試元年」とあえて呼んだ。最難関校である豊島岡女子学園が、英語資格利用で算数1科の筆記試験を導入したからである。その詳細については第217回で触れたので、ご参照いただきたい。若干名の募集に対して、300人近い受験生が出願したことを考えると、難関・上位校の入試にも影響が出ることは必至だろう。

 26年にさっそく頌栄女子学院が、2月1日と5日の一般生向け2つの入試回で4科と併願可能な英語利用入試(英検3級以上取得が出願条件)を新設する。国数2科(各100点満点)に英検取得級数でみなし得点(3級70点、準2級90点、準2級プラス100点、2級110点、準1級130点、1級150点)を加える。換算点が100点を超える設定は珍しい。いずれも面接は行わない。また、帰国生の2月入試は廃止し、12月6日のみとする。こちらは保護者同伴での面接がある。

 前回は「帰国生入試」について見た。今回は、一般入試での「英語」の扱われ方について振り返りつつ、最後に26年入試での変更点と展望について、現時点で判明している範囲で触れていきたい。最新の状況については、ダイヤモンド社教育情報のX(旧Twitter)Facebookで適宜取り上げていくので、併せてご覧いただきたい。

 一般生向けの英語入試は、首都圏1都3県に茨城の2校(江戸川学園取手、茗溪学園)を加えると、25年に私立124中学校が何らかの形で実施した。学校種別では、男子校3、女子校40、共学校81となっている。

 「英語入試」は、その内容によって大きく4つのタイプに分けられる。最も多いのが、教科型の科目組み合わせの一つとして英語を扱う第一のタイプで、高校入試並みに5科を課す江戸川学園取手(5科もしくは国算英3科)のような例も出ている。それでも、必修化していた英語リスニングが26年から廃止となる。2科・3科・4科の組み合わせの中に英語も入る場合は、実際に何人が英語を選択したかは判然としないものの、中堅・中位校が“品ぞろえ”の一環としている例が多い。

 これらの背景にあるのは、小学校における英語の教科化だろう。20年度から小学校3・4年生は英語教育が必修化、5・6年生では教科化(年間70時間/週2コマ)された。教科として英語を学んだ卒業生が中学を受験する頃から“品ぞろえ”に加わってきたので、22年付近が「英語入試元年」と言えなくもない。

 英検でいえば、3級(中学卒業レベル)から5級(中学初級レベル)までの比較的ソフトな問題が主となる。それでも、だいぶ先取り学習となってしまう。すっかり英語嫌いになって中学生になるという教育現場からの指摘もあり、保護者としても悩ましいのが入試での英語の扱いかもしれない。

 次のページの図1には、帰国生入試以外の英語入試について、比較的受験生の多い入試回や3年間の推移がうかがえるものを載せてある。以下は、図1も参照しつつタイプ別に見ていきたい。カッコ内は25年の受験者数と実倍率である。