ハイレベルな「国際生」入試の状況

 第二のタイプとして、入試名に「国際生」などを冠している入試が挙げられる。東京では厳格化により“国際生”が帰国生入試から締め出されたことは、第217回で取り上げた。要求される英語のレベルには幅があるものの、帰国生入試と遜色ないレベルの入試回も見られる。図1も参照しながら、実態を見ていこう。

 ハイレベルの代表格が、受験者数が3桁と多い2月3日の広尾学園[国際生AG回]と2日の広尾学園小石川[国際生AG回]である。入試内容を見ると、英語による出題(EnglishとMathematics)、日本語、英語と日本語のインタビューが行われ、TOEFL iBTスコアが90以上の場合はEnglishの試験が免除される。英検でいえば準1級程度の英語力が必要なわけで、かなりハードルは高い。両校共に24年からの帰国生入試厳格化で受験者数が跳ね上がり、特に広尾学園の25年実倍率は男子7.7倍、女子8.9倍とまことに過酷な状況だ。

 三田国際科学学園を立ち上げた大橋清貫氏を、学校法人星美学園が学園長として迎えたこともあり、サレジアン国際学園とサレジアン国際学園世田谷は、英語の入試回を多く設けた。サレジアン国際学園は、英語エッセイと日本語・英語面接を行う[国際生AG(Advanced)]の3つの入試回で計57人が受験している。やはり3つの入試回がある英語エッセイと英語筆記か英語資格の[スカラシップ(Advanced)]は、同じく35人が受験している。

 サレジアン国際学園世田谷の方は、英語筆記と英語エッセイを課す[インターナショナル・アドバンスト]を3回設定、世田谷という地の利もあってか、1日[1回午前](51人・7.3倍)、2日午後[3回午後特待](44人・2.6倍)、5日[5回午前](33人・3倍)と、結構狭き門となっている。

 国算英3科の芝国際[国際]には2つの入試回がある。[2月1日午前](25人・2.5倍)はともかく、[2月3日午後特待](41人・4.1倍)は、図1のように倍率の変動が大きい。

 26年、府中市に立ち上がる明星Institution中等教育部は、1日の午前と午後に[国際生(国内インター生)]入試を行う。募集人員は5人で、英語と面接(英語・日本語)が課される。東京多摩地区の共学進学校は早稲田実業学校が筆頭だが、それに比肩する「多摩から世界のリーダーを輩出」を標榜している。

 東京は2月1日の一般入試解禁日以降の実施となるものの、他県はその限ではない。機を見るのに敏な開智や開智所沢が11月の「国際生」入試を25年に新設した。10日の開智 国算英3科の[11月国際生(所沢)](38人・1.3倍)だった。開智所沢は、国算2科か国算英3科を10日[1回国際生来校型](72人・1.4倍)で、国算と英エッセイに口頭試問がある23日[2回国際生](33人・1.9倍)と、12月17日[3回国際生](21人・2.1倍)の3つの入試回がいずれもまずまずの滑り出しとなっている。

 つくば市にある茗溪学園は、MGとACの2つのコースで3回の国際生入試を行っている。入試方式は[A方式(英語と日本語エッセイ、国算英3科)][B方式(国算2科か国算英3科)]に分かれる。日程ごとに合算すると、11月16日[特別選抜](83人・2倍)、12月21日[1回](36人・1.4倍)、1月12日[3回](37人・1.4倍)となっている。国算2科か国算英3科を選ぶ12月21日[1回推薦](184人・1.7倍)も人気がある。