実際、特殊MRI画像(私が開発し、国際特許にもなっているものです)で脳を撮影すると、赤ちゃんの脳は真っ白ですが、大人の脳は白い部分と黒い部分が分布しています。黒く写っている脳番地が、より発達しているということです。
脳番地の発達度合いを知ることで、その脳が、どのようなことを得意とし、どのようなことを苦手としているのかがわかります。これが、「脳のあるがまま」を理解する一番の手がかりになるのです。
得意・不得意などは、本人にヒアリングしたり、自問自答したりすることでは、あまり明確にはなりません。自覚していない得意・不得意も多いものだからです。
人間の思考、感情、行動のすべてを担う脳のことは、脳自身に教えてもらうのが一番というわけです。
21歳を超えたとしても
伸ばせる才能は無限大
さて、この脳番地の考え方の背景には、まさしく、先ほどお話しした脳の成長過程があります。特に「21歳までの脳は物理的に質量が増え続ける(大きくなる)」という事実は、「脳番地」の考え方の根幹にあると言えます。
「21歳までは脳が大きくなる」というのは、脳番地ごとに言うと、つまり「21歳までは理解系脳番地が大きくなる」場合もあれば、「21歳までは感情系脳番地が大きくなる」場合もあるし、「21歳までは運動系脳番地が大きくなる」場合もあるということです。
もっと言えば、外部からの刺激の入れ方によって、「大きくなってほしい脳番地」を、より大きくするようにもできる。脳特性をよく理解すれば、これも可能です。
私はつねづね、「子どもの能力や可能性を見くびってはいけない」と申し上げているのですが、それは何も感覚的・情緒的な話ではありません。
子どもの能力はいかようにも変わりうるし、どのような才能が花開くかという可能性は未知数である。これは「21歳までは脳の質量が増える」という科学的事実をもって言っていることなのです。