「“悩む”だけの時間は無駄です」
最近、仕事で「考える」ことが増えていませんか? 新商品やサービスの企画。販売や宣伝の立案。マネジメント、採用、組織運営の戦略など。従来の方法が通用しなくなったいま、あらゆる仕事で「新しく考える」ことが求められます。でも、朝から晩まで考え続けた結果、何も答えを得られずに1日が終わる――そんな経験のある人が多いのでは。
「その悩み、一瞬で解決できます」。そう語るのは、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に発想や思考の研修をしてきた石井力重氏です。その数々のノウハウをAIで実践する方法をまとめたのが、書籍『AIを使って考えるための全技術』「鈍器のような存在感に圧倒される」「AI回答の質が目に見えて変わった」と、発売直後から話題に。思考・発想のベストセラー『考具』著者の加藤昌治氏も全面監修として協力した同書から、「思考の盲点を見つける」方法を紹介します。

「1人で考え続ける」のは時間の無駄? では、頭のいい人がやっている「思考の盲点を見つける」方法とはPhoto: Adobe Stock

AIを使って「思考の盲点」を一瞬で見つける

 AIを仕事の効率化や自動化だけに使うのは少々もったいない。賢く使うことで「問題解決」にも十分に役立てることができます。

 その方法の1つが、技法その18「新しい地平の探索」
 そのプロンプトはこちらです。

<AIへの指示文(プロンプト)>
〈アイデアを得たい対象を記入〉というお題でアイデアを出してきました。アイデア群の偏りから、まだ考えられていないアイデアの方向性を見つけたいです。以下のアイデア群の偏りとして、どんなものがあるか教えてください。
〈ここまで出た全アイデアを記入〉

 人間だけでは気づきにくい、アイデアの在り処をAIに探してもらいます。
 仕掛けはシンプル。すでに場に出ている全アイデアを入力して、「このアイデア群の偏りから、まだ考えられていないアイデアの方向性」を探す指示をすることで、まだ出ていないアイデアの「空白領域」をAIに見つけてもらいます。この手の概念処理が、AIはとてもうまいのです。

「一人暮らし用家電」アイデアの空白領域を見つけよう

 まずはいたってシンプルに、技法の威力を確認してみましょう。お題として「一人暮らし用の新しい調理家電」を考えてみます。

 技法「新しい地平の探索」を使うのは、ある程度のアイデアを出しきった後です。ここでは、すでに14個のアイデアを得ているとします。これらのアイデアを入力して、AIに「新しい地平」を探してもらいましょう。

<AIへの質問>
〈一人暮らし用の新しい調理家電〉というお題でアイデアを出してきました。アイデア群の偏りから、まだ考えられていないアイデアの方向性を見つけたいです。以下のアイデア群の偏りとして、どんなものがあるか教えてください。

 ・一人暮らしの若者や高齢者向けに、使いやすさと安全性を重視した調理家電。
 ・家族や友人を招いたときにも活躍する、簡単に大量調理が可能なマルチクッカー。
 ・健康志向の高い人々向けに、栄養バランスを考えたメニューを提案するスマートキッチンアプライアンス。
 ・音声コントロールが可能なインテリジェント調理器具で、レシピの自動調整や食材の状態監視を行う。
 ・サステナブルな素材から作られた調理器具で、環境に優しく、長期間使用可能なデザイン。
 ・ユーザーが食材を入れるだけで、自動で切る、炒める、蒸すなどの一連の調理を完結できるロボット調理器。
 ・ユーザーの食生活や好みを学習し、パーソナライズされた食事提案をするAI機能を備えた調理器具。
 ・小さなキッチンスペースでも収納しやすい、コンパクトで折りたたみ可能な調理器具。
 ・忙しい朝や疲れた夜にも簡単に健康的な食事が準備できる、高速調理機能を持つ家電。
 ・調理プロセスを楽しくする、カラフルでユニークなデザインの調理器具。
 ・食の楽しみを再発見させる、新しい食材やレシピを提案するスマート調理器。
 ・キッチンのインテリアにもなる、美しいデザインとカラーバリエーションの調理器具。
 ・調理中のにおいを最小限に抑える、高性能フィルター搭載のフライヤー。
 ・食材の旨みを最大限に引き出す、精密温度管理が可能なスロークッカー。

 この技法にかぎらず、これまでに出したアイデアを「元手」にしてさらに発展させる必要があるケースはたくさんあります。ですので、過去のアイデアは別ファイルなどにコピー&ペーストして記録しておくと便利ですね。