同じ話題を何度もくり返し言ってくる場合でも、会話を盛り上げることはできます。

 たとえば、「昔はあそこ何屋さんだったの?」「今日は風が強いね」「だから足腰が丈夫なんだね」「息子さん元気?」などの切り返し方が効果的です。

話が膨らまないときに使える
高齢者の「かきくけこ」とは?

 一般的にお年寄りは、「か」=過去や家族の話、「き」=季節や気候の話、「く」=苦労話、「け」=健康の話、「こ」=子どもの話の「かきくけこ」を話題にすることを好みます。くり返し話す内容も、この「かきくけこ」に含まれることが多いです。

 一方で、若い人が好む話題は、「さ」=最近のこと、「し」=趣味の話、「す」=好きな人、「せ」=性の話(彼氏彼女の話)、「そ」=育ち(経歴)といった「さしすせそ」です。

「さしすせそ」の話題では、まるで話がかみ合わなかった場合でも、「かきくけこ」の話題を振ったら途端に大盛り上がり、ということも珍しくありません。

(この人に話すのはやめよう)(自分から話すのはやめよう)と、本人の口数が減っていくことは、本人の認知機能にも悪影響を及ぼします。

 言葉を選んだり、相手の話を理解したりすることは、大いに脳を活性化させているからです。会話の減少は、認知機能の低下を早めてしまうことにもつながるので、何としても避けたいところです。

整理整頓ができない人は
生活そのものが崩れていく

 整理整頓や掃除、片付けができなくなるのも、認知症疑いの段階で見られやすい兆候です。

 それによって、部屋が汚くなるというのも代表的な困りごと。でも部屋が汚いだけでは命には関わらないので、本人も家族も「困ったね……」でやり過ごすことも多いのです。

 それよりも問題になってくるのが、整理整頓能力が落ちて、請求書や保険関連などの重要な書類が山積みになり放置されること。

 それが積み重なって、しまいには電気・ガス・水道が止められてしまう事態になると、途端に生活が困難になります

 病院の受診日を忘れるくらいなら、また別の日に受診すればいいので、生活に支障が出るわけではありませんが、ライフラインが止まるのはさすがに困ってしまう。