そうなって初めて家族も異常に気づき、病院受診のきっかけになるというケースも実際によくあるのです。

 そんな事態になる前に家族がサポートしてあげたいところです。山積みの書類に気づいたときに、「どうして整理しないのよ!」と責め立てたところで、解決にはつながりません。

 また、逐一「これは要るの?要らないの?」と本人に尋ねながら目の前で整理を進めようとするのは、要不要の判断がつきにくくなっている人の頭を混乱させるだけ。

「自分でやるから、もういいよ」「私の書類だから触らないで!」などと、反発を招く事態にもなりかねません。

受け入れてもらうために
ときにはウソを混ぜる

 この場合の望ましい言葉かけとしては、「書類の整理、得意だから私にやらせて」「好きだから任せてもらえる?」というふうに、あくまでも「自分がやりたい」ことを前面に出して、サポートを提案する方法です。「withの言葉かけ」ですね

「むずかしいなら……」「苦手そうだから……」といった「本人に非がある」ことを強調する一言を添える必要はありません。

 やりたいなら任せようかと思ってもらえるように、明るく提案するのがポイント。

 また、うまく任せてもらえるように、「銀行に知り合いがいるから、この手続きは私がしておくよ」とか、「郵便局の人と仲良くて手続きが簡単だから任せて!」といったプラスの情報を付け加えるのもいいですね。こういうときは、嘘も方便です。

 部屋の掃除や片付けについても同じです。「代わりにやってあげる」といって積極的にやり過ぎると、相手に申し訳ない気持ちや、パーソナルスペースにぐいぐい踏み込まれたという不安感を抱かせてしまいます。

 書類整理と同様に、「私が好きだから」「やりたいからやらせてね」というスタンスで任せてもらう流れに持っていけるといいですね。